『寄り道しないで帰ろうよ。』 205号室-40 最終話

  アツシは布団に俺を座らせて、Yシャツを脱がすとTシャツを被せて着せてくれる。そして寝転んだ俺のスラックスを脱がした後でスウェットパンツを穿かせた。 吉田くんが見守る中で、俺は照れくさくて内心ではまいっていた。早く帰ればいいものを俺たちのやり取りを見ているし、それでいて何も言おうとしない。一体何がしたいんだ?「なんだか、アツシさんの印象が違いすぎるんすけど。なに甲斐甲斐しく嫁みたいな事してるんすか...

『寄り道しないで帰ろうよ。』 205号室-39

「ちょっと待ってて、今布団を敷くから。」 そう言って、アツシは俺と吉田くんをリビングに残すと和室に行き、押し入れを開けて布団を敷きだした。「...........起き上がる時大変じゃない?ベッドの方がいいと思うけど。」 吉田くんはそう言うが、寝室を見せる事はアツシが許さない。だからこそ、和室に布団を敷いているんだ。「大丈夫だ、そこまでじゃないから。ホント、心配かけて悪かったけど、吉田くんもう帰ってもらっても...

『寄り道しないで帰ろうよ。』 205号室-38

 真夜中の暗い道を走るタクシーの中で、外灯の灯りが窓から入るとぼんやり外を眺めていた。 時折行き交う対向車のライトが眩しくて、目を瞑ると顔を背ける。「拓海、腰、大丈夫か?明日会社に行けるかなぁ。」 背けた顔の先にいたアツシは、俺の顔を覗き込むと聞いてくる。心配そうに俺を見るが、きっと他に言いたい事は山ほどあるんだろう。でも、タクシーの中じゃ話せないから、ここはマンションに着くまでのガマンをしている...

『寄り道しないで帰ろうよ。』 205号室-37

 玄関の壁にもたれ掛かって5分。 床に座っていると腰に響くと言って、夏目さんが椅子を持ってきてくれると、ゆっくり上体を起こしてそこに座り直す。 アツシはまだ来なくて、車だと15分くらいの所だろうと思うが、この場所も分からないのかもしれない。「この間から、私、迷惑ばかりかけていますよね.....。」 夏目さんは、玄関に椅子を持ってくると、そう言いながら俺を立ち上がらせる。床に座っているのが辛いと思ってくれた...

『寄り道しないで帰ろうよ。』 205号室-36

 電車の窓から見える風景が郊外に近付いてくると、車両に残る人もまばらになる。 シートに浅く腰掛けて、両足を放り出す様に座っているのは、俺と同じようなスーツ姿のサラリーマン。そこに混じって女性の姿もちらほら見える。見るからに飲んで帰る途中の様子で、ほとんど眠っているのか頭はうな垂れたまま。 最近は女性の営業職も増えていて、さっきの恵比寿さんたちじゃないけど、男より酒が強い人も多い。そういう意味では男...

『寄り道しないで帰ろうよ。』 205号室-35

 --------マイッタ-------- 今日は出張だというのに、昨夜の頑張りが今頃腰に来た。西さんと電車に揺られて千葉のT百貨店に着くころには、俺の腰も痛みだし立っているのが辛くなる。「山城さん、少し痩せました?」「え?いいえ、変わらないと思いますが。」 担当の恵比寿さんという女性に言われて、思わず上から自分の身体を見下ろすが、特に体重を測る事もしていないので良く分からない。痩せたというよりも、やつれて見える...

『寄り道しないで帰ろうよ。』 205号室-34

**R18です。** アツシの柔らかい唇で、俺の耳に、うなじに、肩に...........優しくキスを落とされると全身の肌が粟立つのを覚えた。ゾクリとする快感が俺の内部に押し寄せてくると、この手でアツシに触りたいという欲求が堪えきれなくなるが、俺の両手はアツシが頭を拭いていたタオルで固く縛り付けられて、触る事が出来ないでいた。「これ、外せ----。なんでタオル、」「オレのいない隙に別の男を連れ込んだバツだ。」 言いがか...

『寄り道しないで帰ろうよ。』 205号室-33

 ------- パラパラッ、 ------ バサッ  頭の近くで何かを投げつける音がして、ビクッとした俺は慌てて目を開けた。「.......アツシ...........?」 見上げると、ソファーで横になって寝転ぶ俺を見下ろす様にアツシが立っている。 その視線が床に落とされたので、俺もそれを辿って床に目をやると.....。 コンビニで買ったグラビア雑誌が床に落ちていて、丁度水着姿の放漫な胸を晒した女の子のページがペラリとめくれて開い...

『寄り道しないで帰ろうよ。』 205号室-32

「良かったら珈琲でも飲んでいく?」 リビングのインテリアが気になるのか、まじまじと見ている吉田くんに言えば、「あ、すみません、帰ります。」とお辞儀をした。「そう、梨を有難う。今夜アツシは帰りが遅いって言うから、明日にでも一緒に頂くよ。」 俺は吉田くんにそう言って、玄関へ送ろうと付いて行く。「あ、.........そう言えば、シオンの相談事っていったい何だったんですか?」 玄関で靴を履きながら、俺の顔を上目...

『寄り道しないで帰ろうよ。』 205号室-31

 シャワーを終えた俺は、歯磨きを済ませると寝室へ行った。 すでに、アツシはベッドで横になり眠っているのか、目を閉じて動かない。半乾きの髪の毛もそのままで、声を掛けるのをためらった。- 俺は明日も休みなんですけどねー。 心の中で残念がる俺だったが、アツシが疲れているんじゃスキンシップも出来ない。下手に手を出したら本気で怒られそうだ。 そっとドアを閉めると、もう一度リビングへと戻った俺はソファーに身体...