【妄想男子と恋のゆくえ。】91

 ふわり、と身体が浮いた様な気がした。まさかそんな筈はないのだけれど、森の腕に抱き寄せられて、自分の回した腕に力が入っていなくても、まるで吸い寄せられる様に身体が持って行かれるのはどうしてだろうか。- やっぱり手慣れている前にも感じた事だけど、くちづけの後にそっと顎の先を舐めて、思わず首を反らしたくなるように仕向けるんだ。それから突き出た喉仏に舌を這わせる。........ぁ、........小さな呻きがあがると...

【妄想男子と恋のゆくえ。】90

 今度は、俺が玄関で森を待たせて保険証を取りに行った。カギが開いていたので、ただいまー、と声を掛けながら廊下を歩いて突き当りの台所まで行く。すると、晴香が丁度冷蔵庫を開けたところで。「あ、お前、ま~たそのまま牛乳飲もうとしてんな!ちゃんとコップに入れろよな。」「あ、研お帰り。あとチョットだもん、飲んじゃうからいいんだよー。」そう言ってそのまま廊下へと出た。が、玄関で立っている森を見つけたのか、慌て...

【妄想男子と恋のゆくえ。】89

 森が保険証を探している間、俺は玄関に座り込むと静かに待っていた。ちょっと前なら勝手に上がり込んでいるところ。でも、今日は森にここで待っている様に言われて、それに従った。リビングの方から出てくると、片手に保険証を持ってもう片方の手には通学用の鞄を持っていた。「え?眼医者へ鞄持って行くの?」森が靴を履くのを見ながら、俺が訊く。「眼科へ行った後、ケンちゃんの家で勉強しようと思って。」俺の質問に、当たり...

【妄想男子と恋のゆくえ。】88

 ふんっ、、、森を睨みつけてはみたけれど、自分でも何をやってるんだって思い直すと前を向いた。しかも、こんな顔をおもいっきり晒してしまって......。背中に感じる森の熱は感じられなかったが、今日はそれが虚しくもあった。一生懸命背後を意識する俺は、バカみたいだと思う。友達宣言されて、見限られて、これで親友になれるって思っているんだろうか。そんなの無理に決まっていた。休み時間は横山たちとも喋らずに次の英語の...

【妄想男子と恋のゆくえ。】87

 昨夜は何かに没頭したくて、深夜遅くまで勉強をしていた俺。夜が明けると朝陽が眩しくて、目を覚ますとけだるい身体を折り曲げる様に階段を降りて行く。洗面所に行くとぼんやり鏡に映る自分の顔を見た。「うっわ!!なんだ、この顔!」大きな声を出してしまったのは、鏡に映った俺の顔がむくんでいたからで。瞼は腫れてまるで’ものもらい’になったみたいだった。寝ている間に目を擦ってしまったんだろうか?!バイキンでも入った...

【妄想男子と恋のゆくえ。】86

 「.....ねえ、研...........、大丈夫?救急車呼ぶ?」晴香が俺の腕に手を添えると訊いて来る。が、俺は顔を上げられなくて俯いたまま。「だ、いじょうぶ、ちょっと昼食い過ぎただけ。先、帰るから。」そう言うと、すっくと立ちあがって猛ダッシュで走り出す。「え?!研!!!!」背中に俺を呼ぶ晴香の声を受けながらも、振り返らずにまっすぐ家を目指した。全速力で走ればアッという間に着いてしまう。なのに、目の端で流れる景...

【妄想男子と恋のゆくえ。】85

 ひとりシートに座って横に立つ森の事を見上げていたら、それに気づいた森が俺の方を見る。一瞬目を伏せてしまった俺は、自分でもどうしてこんなにドキドキしているのか分からなくなった。アッシュがかった髪を指でかき上げる姿は、男の俺から見てもカッコイイ。それに、あのグリーン交じりの瞳で見つめられたら、引き込まれてしまいそうになる。女の子ならきっと、一発で虜だよな......。昔、森は女の子と付き合った事もあるって...

【妄想男子と恋のゆくえ。】84

 空腹も満たされて気分が良くなったのか、急に鳥居が横に座る俺の肩を引き寄せると言った。「なあ、研ってさあ、どんな女の子が好み?今まで聞いてたのは、優しくておとなしくて言葉使いのいい娘、って感じでさ、あんまり容姿って分かんなかったじゃん。」「え?.........容姿って、..............」そんな事を言われても、すぐには思い浮かばない。「どうしたんだよ、突然。」と、目を丸くして訊くと、「ヒカルちゃんが、今度紹...

【妄想男子と恋のゆくえ。】83

 一緒に試験勉強をしようって言ったのは森だったのに..............。結局、土日も出会う事なく終わってしまうと、月曜の朝を迎えた俺はいつもの様にバス停までの道を歩いて行った。森のマンションの前で一旦立ち止まると、エントランスに視線を送った俺は、ひょっとして寝過ごした森が出て来やしないかと思って待つ。でも、そんな筈はないか.........。「おはよう、勉強した?」「あ、おはよう。あんまりしてねぇな。」昇降口で...

【妄想男子と恋のゆくえ。】82

 言葉を続けようとして、唇を開いたまま俺は固まってしまう。’友達’それは当たり前の事で、俺たちは友達以外の何物でもない。と思っていた。好きなのも、一緒に居たいのも友達だから................いや、そうじゃない。友達を超えた感情に、ひとりもがいているじゃないか。森は、俺の事をずっと好きだったと言った。あんな幼稚園の出来事もずっと覚えていてくれて.....。だから、俺はその気持ちに応えたいって思ったんじゃない...