境界線の果てには。(067)

 ここにバカな男が一人・・・散々わがまま言って甘えて、護衛隊長を我が物にしたと思っていたら、女に横取りされて....。なのに、まだ強がっている。喉から出そうな言葉を飲み込んでは、こうやって立っているのがやっとだ。「お前に単位の心配なんかされたくないな。・・・大丈夫、オレは留年なんかしないよ。」真咲が俺の手からカバンを引き剥がすと、前を向いたまま言った。-わざとなのか、なんで俺の顔見ないんだよ.........。...

境界線の果てには。(066)

 翌朝、ゆっくり起きた広斗は重い頭を抱えていた。テーブルの上のカフェオレは、すっかり冷えてしまい、目を閉じて自分の思考をクリアにしようと思うのに、全くやる気が出ない。ちゃんと食事をしなさいと言われたのに、結局何も口にせず寝てしまった。-夢の中で、真咲と真希ちゃんが並んで歩く姿を追っていた俺。嫌になる。こんな夢見たの初めてで......。気持ち悪いぐらい女々しい俺に、真咲が冷ややかな目を向けていた。あんな...

境界線の果てには。(065)

 誰もいなくなった待合室で会計を済ませると、貴哉が入口まで見送ってくれる。「いい?ちゃんと、栄養考えて食べるのよ?!倒れるのは心因的な理由ばかりじゃないんだから。」「.....はーい、分かりました。」まるでお母さんと子供の会話みたいだが、貴哉の言葉を素直に聞く広斗。片手を上げるとアパートの方へと帰って行く。その後ろ姿を見ながら、貴哉が少し心配そうな顔。「貴哉・・・昔の事思い出した?」末永が、ドアを開け...

境界線の果てには。(064)

「……さん、………お客さん!大丈夫ですか?」「…あ、……はい…。」座り込んだ広斗のところにやってきた店員が、肩に手を置いて聞いてくるので気を取り直して返事をした。立ち上がって会計を済ませるが、さてこれからどうしたらいいのか。とりあえずこの食品は、持ち帰りということだ。届ける相手が居ないんだから…。 気が付けば、広斗は末永クリニックの前に来ていた。真咲が勝手に予約を入れてくれたから、仕方がない。中に入ると、...

境界線の果てには。(063)

 俺が昔付き合った女の子が、どうしてキレるんだろうと不思議だったけど、やっとわかったよ。俺、相手の気持ちとかあんまり考えてなかった。自分がよかったらそれで良しにしてたんだ。好きだとか、愛してるなんて言ったこと無い。それが、こういう形で返ってきたんだな。広斗が深いため息をつきながら、教室へと入って行くと、高木と目があったので、隣に座る。「なに?暗い顔で……。」高木に言われて、はぁ〜、と机の上に上体を伏...