『曇天の月』 012

 慌てた。こんなに慌てたのは初めてだった。司の後を追いかけようと、思い切りドアを開けたが、その姿は無く、なぜかドアノブにコンビニの袋がかけられていた。「なんか、マズイ事になったね?」俺の背後から顔を覗かせておーはらが言う。が、その顔はうっすらと笑みを浮かべていて、まるでこの状況を楽しんでいるかのようだった。「勘弁してくれよ!こんな事であいつを怒らせたら・・・・」ドカッとベッドに腰を降ろし、自分の頭...

『曇天の月』 011

 「ねえ、パンツ貸して・・・!」唐突におーはらが言うから「ぇえっ!!」と声が出てしまって、慌てて口を押えた。「お、お前・・・人のパンツ穿く気か?」「え、ダメなの?別に洗濯してあるんならいいんだけど・・・」- 信じられない・・・・パンツはダメだろ?! いくら洗濯してあったとしても!「あ、新しいの出してやるから・・・ちょっと待ってろ・・・」そう言ってクローゼットの中を探す。確か前に貰ってそのままのが・...

『曇天の月』 010

 - あたまいたい - - - 結局、昨夜は自宅に帰ってから飲み直してしまった俺。全く酔えなくて、訳わかんないけど、朝起きたら隣に昨夜の金髪がいるんだけど・・・・・タクシーに乗り込んで、家まで帰った時は一人だった。どこでこいつが出てきた?なんで此処にいるんだ?- - - あたまいたい - - - 「あ、おはよー・・・頭痛い・・・・」「え、お前も? ・・・・どれだけ飲んだ?」そう言って床に転がっているビールの...

『曇天の月』 009

 - - - ヤバイ、と思った。金髪の髪はフワフワで、右の耳だけにピアスをつけ、ほっそりした身体に薄くついた筋肉。二重の目尻は、わずかに下がり気味で、人懐っこい感じのオトコ。ドンピシャで俺の好みのタイプだ。「なんで今まで会わなかったんだろう・・・ボク、おーはらって言います。」すんなり俺の横に座るとこちらを見て言った。「俺はリョウスケ。最近はここから遠ざかってたから。」そういうと、ママの方を見た。別の...

『曇天の月』 008

 ・・・・キャー、やあねぇ~・・・・・もぅ・・・・・言葉遣いに反比例した野太い声が飛び交っているが、ここはとあるゲイの集まるバーで、今日は飲みたい気分だったから一人でやって来た。司はこういう店が好きじゃないらしい。いかにも相手を探しに来ました。的なのがいやらしいとか言ってた。そのくせネットで、俺と知り合ったんだけどな・・・「アラぁ、今日はツカちゃんはいないのオ?・・・あ、もしかして逃げられた・・・...