『曇天の月』 050

 司への思いを馳せつつ、俺は今までの仕事のファイルを整理していた。元々あった仕事以外にも、新たな規格を受けて試行錯誤しながら、新商品の開発もしてきた。そういったノウハウがあるからこそ、ここは小さいながらも生き残ってきたんだ。でなきゃとっくに潰れている。それから・・・・悔しいけど、親父の営業力もあったのかもな。今の俺には、あんなに取引先をもてなす事なんてできないよ。金の使い方もそうだけど、やっぱり人...

『曇天の月』 049

 おーはらの所から戻り、一応着替えだけはして会社に行った。「若社長、昨日戻られなかったから心配しちゃいましたよ。社長もすぐに帰られるし・・・」杏子ちゃんが俺の顔を見るなり言う。「ああ、ごめん。ちゃんと決まったら話すけど、社員さんは心配しなくていいからさ。職を失うことにはならないから。」「ええっ、ホントですか?良かった~、私クビになるかと思ってたんで。」そう言って、くるりと向きを変えると掃除の続きを...