【曼珠沙華】 炎に落ちる 067

 引きずられるように、桂の家の前まで連れて来られると、リュックの紐を掴まれてカギを開けた玄関の中へと放り込まれる。「痛ってぇな!!・・・もう、何なんだよ?!」いい加減、頭にきた俺が怒鳴ると、桂は素知らぬ顔で部屋へとあがって行く。「勉強やめって言っただろ!帰るからな。」振り返ってドアを開けようと手をかけるが、「なら、オレが千早の家に押し掛けるから。勉強中に逃げたっておばさんに言うからな!」と、まるで...

【曼珠沙華】 炎に落ちる066

 「そりゃあ、オレはガキだよ。金もないし千早を車で送るなんて何年先になるか分かんない。」信号が青に変わっても立ち止まったまま話す桂。「・・・おい、青。・・・行くぞ。」そう言って歩き出そうとする俺の手を引っ張ると、「聞いてんのか、オレの話。」という。「聞いてる。桂がガキだっていうなら、俺だっておんなじ。俺もガキだから、天野さんに子供扱いされたまんまだ。」「・・・ヤッタクセニ・・・・」小さな声で吐き捨...

【曼珠沙華】 炎に落ちる 065

 今日は店の中が静かで、年末が忙しかったからかと、一人で納得しながら辺りを見ていた。「年が明けてから千早くんの顔見ないし、どうしているのかと思ってたのよ。元気そうでよかった。」「・・・まぁ、俺は元気ですよ。天野さんは?今日はいないんですね?!」エリコさんに聞いてみたが、外で待つ桂の方にもチラリと目をやった。「オーナーは買い物して来るって、さっき出掛けていった所。せっかく千早くんが来たっていうのにネ...

【曼珠沙華】炎に落ちる 064

 明日も仕事だという友田さんは、終電に間に合うように家を出ると、駅までの道をアネキの車に乗って帰って行った。優し気な顔をした友田さんが、結構情熱的な人だという事を知った俺は、凄く羨ましくなった。自分の突き進む道が決まっているっていうか、芯が通っていてカッコイイ。その延長線上で、アネキとの結婚を考えながらも、方向は見失わない。女にうつつを抜かしているわけじゃないんだよな・・・・。天野さんとも違う大人...

【曼珠沙華】 炎に落ちる 063

 正月ボケで、勉強とか全くやる気が出ない俺に、いよいよ出番がやって来た。その晩、店の定休日に合わせてやって来たのは、アネキのカレシ。名前は『友田 佑二』さんと言って大手の建設会社の社員。人の良さそうな友田さんは、アネキの好きな俳優に似ていて、やっぱり男も顔か・・・と思った俺だった。人間は中身だ。なんて言っているけど、先ず気に留めるキッカケは、自分の好きな顔から入るもんな。そう思うと、アネキも結構な...