『君と まわり道』 14

 病室で拓海の寝顔を見ていると、昔の事を思い出す。学校は共学だったが、オレは女子が苦手で男とばかり釣るんでいた。その中に拓海もいて、周りが子供じみた悪戯をして騒いでいても、一人ひょうひょうとしてオレたちを眺めている。拓海はそんな少年だった。男同士で肩を組んだりプロレス技を掛けあったりして、自然と肌が触れ合う事にいつの間にか過剰反応をし始めて、思えばその頃自分の性癖に気づいたオレ。誰にも聞けないし言...

『君と まわり道』 13

 暗闇の中で、バイブ音とともに点滅する携帯のLEDライト。枕もとに置いたソレに手を伸ばしてみる。夜中に誰からの電話だろうか・・・・目を擦って画面を見ると、そこに表示されている名前を見て胸の鼓動が大きく跳ねた。- 拓海「・・・はい、・・・」掠れた声で返事をすると『アツシ!!大変だ、拓海が運ばれたッ!!』と、その声はミサキのもので、拓海の携帯からかけてきた様だった。「運ばれたって、......どこに?」『聖華病...

『君と まわり道』 12

 山野辺さんの家までは、バスで15分。仕事が終わると、ビルの通用口は食品売り場の出店で賑わう。売れ残った惣菜やケーキなんかが格安で売られているから、その日の食料には事欠かなかった。山野辺さんにいくつか買ってもらうと、オレは荷物を持って後ろを付いていく。バスの中は、もちろん混んでいるから座るなんて出来ないが、食料品が崩れない様に胸の前で大切に抱きかかえると、その姿を見て山野辺さんが噴き出した。そんなに...

『君と まわり道』 11

 ネカフェでシャワーを浴びたオレは、髪の毛も半乾きのまま急いで駅ビルに入って行く。社員の通用口を通る時、いつもの警備員のおじさんにジロツと見られて焦る。ちょっと不審人物に見られるかも・・・・・。「おはよう。」「あ、おはようございます。」「一応、身なりに気を付けてね!」「・・・は~い。」オレは、返事をするとロッカールームに行き、鏡の前に立つと髪の毛を見る。眉毛に掛かった前髪がうるさくて、指でとかすと...

『君と まわり道』 10

  灯りを挟んで対峙するオレと拓海。その距離は、殴り掛かれば容易に拳が届く。多分オレの顔面にモロだ.........。でも、拓海はじっとしたまま動かないでいた。オレの顔をじっと睨みつけたまま。- どうしようか........、ここであの事を言ってしまおうか。オレの鼓動は早鐘のように鳴り出した。言いたくて言いたくて、でもずっと言えなかった言葉。それを松原に指摘されて、アイツの思惑どうりだったかもしれないが、それに乗っ...