『君と まわり道』 19

 取り敢えず今夜の寝床は拓海の部屋に決定。シャワーも済ませると、ベッドに転がった。が、「どこに寝てんだよ。お前の布団は隣の部屋にそのままあるだろ。」と拓海。そうだった、前に転がり込んだ時に布団を買っていたんだ。そのまま押し入れで保管状態か・・・・・「アレ、たまには干してくれた?カビ臭いの嫌なんだけど.....」寝転んだまま拓海に聞く。「ば~か!!なんで俺が干すんだよ、オカンか!」「だったら、オレ、ベッ...

『君と まわり道』 18

 コン、コン.......拓海の部屋のドアをノックすると、中から微かに聞こえる「開いてるよ~」の声。それを聞いて、オレはドアを開けると中を覗いた。ひょっとして、彼女が来てやしないかと思ったんだけど.........「どうした?入れよ..........。何買って来たんだ?」オレの持つビニール袋に興味を示すって事は、食欲も出てきたんだろうか。慌てて靴を脱ぐと、袋を下げたまま拓海の寝るベッドの横へと行った。「適当に、あんまり胃...

『君と まわり道』 17

 さっきまでの薄暗いバックグラウンドから、重い鉄の扉を開けて一歩踏み出せば、オレの好きな世界感が広がった。ショップに入ると、そこはオレの一番ワクワクする場所で、昨日飾った商品のディスプレイも光っていた。「おはようございます。すみませんでした。」レジカウンターに居た山野辺さんに声を掛けるが、「大丈夫なの?」と心配される。夜中に病院に呼び出されたんだから、心配するのも無理はない。それに日頃のオレの行動...

『君と まわり道』 16

 出来るだけ拓海の身体を見ないように視線を逸らすと、「あ、水ッ......水持ってくるから。」とキッチンへ急ぐ。自分でも本当に情けない。病院から戻って、オレは拓海に飲み物を出すことすらしていなかった。脱水症状を起こしても不思議じゃないのに.....。こういう所がダメなんだ。機転が利かない。思いやりが足りないんだな。だからミサキにも愛想をつかされて追い出された。「ポカリとか、買ってくれば良かった・・・。ごめん...

『君と まわり道』 15

 『さてと、・・・他に気になるところが無ければ、退院してもらって大丈夫です。今後は控える事だね?!』医者に言われて「はい・・・、有難うございました。」と、お辞儀をする。そんな拓海の姿を見守るオレは、気が抜けたようで力が入らない。「本当に、心臓に悪いよ。こんなに元気になるんなら、オレ来なくても良かったんじゃないのか?」胸に手を置いて椅子に腰掛けた。「.......驚かせてゴメン。自分じゃ分からなくてさ。・...