【妄想男子と恋のゆくえ。】12

 まんまと晴香の思惑通りになってしまった。森を自宅に招いたが、何をしたらいいのか・・・・・横山なんかが来ても、別に構わずに自分の部屋でゴロゴロしているだけで、アイツは勝手にうちの冷蔵庫を漁って飲み物を飲んでいるし、ポテチなんかも持参していた。だから、かしこまってもてなすなんて事はした事が無い。「森さん、珈琲とか飲みます?」晴香が台所からそんな事を聞いてきて、いつもの態度と違いすぎるから怖くなる。俺...

【妄想男子と恋のゆくえ。】11

 - - - 忘れたふりをしてやり過ごして来たのに、それは突然やって来た。 森と二人でいつもの様にバスを降りて歩き始めた時だった。「あっ、研!!」と、道路を挟んだ向かい側から、大きな声で名前を呼ばれる。その声には聴き覚えがあり、出来れば今は会いたくない人物。「ちょっと待っててよ!!横断歩道のトコで止まって!!」- 恥ずかしい。こんな所で大きな声で叫びながらしゃべるのは、俺の妹の晴香だった。アイツは場所...

【妄想男子と恋のゆくえ。】10

 男ばかりのむさ苦しい校舎の中で、あまり使われていない教室や屋上へ続く階段の踊り場は、唯一仲のいい奴らが集まって騒ぐには格好の場所だった。俺や横山、鳥居、それから時々顔を出す様になった森の4人は、相変わらずの距離感で繋がっている。森がこの学校に来てからひと月が経ち、初めは森の不機嫌な目つきにいい感触を持たなかった二人も、最近では気にならなくなったのか、見た目ほど怖い奴ではないと分かったようで寡黙な...

【妄想男子と恋のゆくえ。】09

 メンズファッションの雑誌をペラペラとめくって見た後、俺は場所を移して建築関係の書籍が置かれた棚を覗きに行った。隣にいる森に「ちょっとアッチにいるから、」と声を掛けて歩いて行くと、後ろから森が付いて来る。俺はそのまま自分の見たい本が置かれた場所まで行き、勝手に棚を漁って手にとってみる。「森は見たい本とか欲しいのある?」と聞いてみたが、「別に無い。」とひとこと返されただけ。「先に帰っていいのに・・・...

【妄想男子と恋のゆくえ。】08

 賑わう廊下を強引に引きずられ、俺は森の腕を思い切り叩いた。バチツ-----その拍子に森の手は俺の腕から離れて足が止まる。「・・・なんなんだよっ!痛いじゃないか!」捕まれたところを手のひらで擦ると、森が心配そうにそれを見る。一応反省はしたんだろう、眉が下がって申し訳なさそうに肩を落とした。「急にどうしたんだよ。引っ張んなくても俺は帰るつもりだし---あと、ケンちゃんって、言うなって言ったろ?!」幼稚園で一...