【妄想男子と恋のゆくえ。】129

 * * * 「なんのもてなしも出来ないけれど、ゆっくりして行ってね。明日は水族館へ行くといいわ。」「あ、うん、そうだね。」おばあちゃんと森が、食事の後でそんな会話をしている。俺は、思わず「ご馳走さまでした。」というと立ち上がって食器の片づけを手伝おうとするが、「いいのよ、ゆっくりアキトとお喋りしていて。あと、おじいちゃんの相手もお願いね。」と言われた。「あ、はい。・・・」そう言って森の方に目をやる...

【妄想男子と恋のゆくえ。】128

 東京から1時間半ほど新幹線に揺られて仙台についた俺たちは、そこからバスに乗り換えて森の祖父母が住むという町に向かった。想像していたより雪は降っていなくて、森の話だと同じ宮城県でも秋田寄りの地方は雪が多いらしい。「ちょっと緊張してきたなー。俺って図々しいのかなぁ、森に誘われていそいそと付いてきちゃうなんてさ。」二人掛けのシートに無理やり並んで座ると、膝に乗せたバッグを抱えて言う。森の肩が当たると、...

【妄想男子と恋のゆくえ。】127

* * * 「だからさぁ、森が一人で行くのはつまらないって言って............。」「そんな事言って、森くんのおじいちゃんやおばあちゃんに迷惑が掛かっちゃうわよ。仙台なんて遠いのに日帰りは出来ないでしょ。」冬休みに入るとすぐに、森に誘われて一緒に仙台の祖父母のところへ行くと、オフクロに伝えた。それなのに、オフクロは反対みたいで.....。「泊るのはおじいちゃん達の家だけど、二人きりだし遠慮しなくていいってさ。...

【妄想男子と恋のゆくえ。】126

 森と二人で教室へ戻ると、早速、俺たちの姿を見た鳥居と横山が近寄って来る。「おかえりー、どうだった?また何か変な事言われた?」鳥居は森の方に顔を向けて訊いた。ちょっとニヤケながらも、どことなく心配そうな眼差しで、じっと森の顔を伺う。「ん~、なんとなく拍子抜けした。あの人が、って言うよりあの人の兄貴に問題ありだから.......。でも、まあ、終わったっていうか。」森は詳しくは報告しなかったが、俺も、それで...

【妄想男子と恋のゆくえ。】125

 「オレが先に行くから、ケンちゃんはオレの後ろに居て。」美術室のドアが見えてきて、俺の一歩前に踏み出ると森が言った。急に目の前に壁が出来て、その背中に目をやると(カッコイイじゃん!)なんて心の中で呟く。でも、俺は扉を開ける瞬間、森の横に並んだ。もしも銃で撃たれるとしたら、流れ弾に当たって死ぬかもしれない位置。まあ、そんな事はあり得ないんだけど.....。でも、覚悟は決めた。俺は、森と一緒に山崎さんの制...