『曇天の月』 032


 「なあ、涼介髪切った?」

シャワーを浴びる俺に、湯船の中から問いかける司だったが、俺が黙っていると「なあって!」と、大きな声になる。


「あ、うん。カットモデルやって、タダで切ってもらっちゃった。」

俺は、答えながら、おーはらの事をどうやって切り出そうか考えていた。
一度俺のアパートで顔は見ているし、ちょっとヤキモチ焼いた感じだったからな・・・

「あの、ちょっと頼まれ事してさぁ、その美容師・・・前に俺の家であったヤツなんだけど。」
恐る恐る言って見るが、返事はない。

「訳ありなおっさんと付き合ってるらしくて・・・・ひと芝居打ってほしいと頼まれたんだ・・けど。」
ちらりと司の方を見れば、湯船の中にどっぷりと頭の先まで浸かっていた。

「お、おいっ!!」慌ててしゃがんだが、
ザツバ~ン、と顔を出し、ぶるぶるっと頭を振る。

「ちょ、っと、、、何してんだよ!子供か?!」
俺が言うと、ザバッと立ち上がって風呂から出て行った。


- やっぱり機嫌悪い・・・・
だよな・・・・そりゃあな。

仕方なく、自分も風呂から出るとバスタオルを巻き付けて部屋へ行った。

ベッドに腰を降ろし、髪の毛を拭いている司の横に座ると、頭を拭くタオルごと抱きしめる。
「ゴメン。気分悪いかも、だけど・・・なんか可哀そうになっちゃって、茶番劇の手伝いしてやりたくなった。」
俺が話し終わると、
「そ、・・・いいんじゃない?涼介がそう思うなら、手伝ってやれよ。なんとなく、茶番の演目は目に浮かぶけど・・・」

そういうと、司が俺の腕を取り、そのまま力任せにベッドに押し倒す。

「っ、かさ?」ドキッとしながら顔を見る俺。

「ヤバくなったら、ちゃんと逃げろよ?」と言う。

「?」 どういう意味か分からず、目を瞬かせていると
「これは、オレのもんだから!」
そう言って、バスタオルの合わせ目に手を入れると、俺の柔いものを掴んだ。

「い、ってぇ!!」
思い切り掴まれて、俺は本気で蹴りたくなったが、堪えた。

- マジで、怖いわ!!

司の穏やかな顔が、みるみる艶のある色っぽい顔になると、俺にのしかかり身をゆだねる。






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