『曇天の月』 047


 「あっ・・・・」
耳元で声がして、うっすら目を開ける。

・・・・目の前におーはらの顔があって、しばし記憶をさかのぼる俺。
「どうして一緒に寝てるんだっけ?!」

ダブルベッドの上にぴったり躰を寄せて俺たちは寝ていた。
おーはらが、俺の腕を枕にしながら言ったが、俺は目を瞑ってもう一度記憶をさかのぼった。

- そうだ、昨夜おーはらをおぶって来て、いろいろ片付けてたら疲れちゃったんだよ。
親父の事もあって、精神的にもちょっとまいった所へ、おーはらと小金井さんとの事にまで首を突っ込んじゃったからさ。

「俺、何にもしてないからな。ちょっと疲れたから休ませてもらっただけだ。っていうか、お前ベッドの上ちゃんと処理しとけよな!」

「え?・・・・ああ、・・・・・うん。」
バツが悪そうに俯くが、俺の腕から頭を降ろす気配がない。

「ちょっと、起きたんならどけよ。さすがに腕痺れる。」
俺が言うと、おーはらはムッとした様で、さらに俺の身体にくっついてきた。

「ちょ、っと・・・」
足まで絡めてくるから焦った。
そうでなくても、男は朝に反応するってのに・・・・

「やめろって、頼むからトイレ行かせてくれ。」
「やだ、せっかくリョウスケさんと、こんなに接近できたってのに。」
おーはらが俺の腰に自分の足を絡めながら言う。

・・・・目の前の顔は、俺の好みだけど、ここはやっぱりマズイだろう。
俺は別に、浮気をしたいとは思っていないんだから。


「おーはら。・・・」
そういうと、やっと俺の腕から頭を降ろした。全く、何を考えてんだか・・・

小金井さんと別れたくないんだろうに・・・強がっちゃってさ。
俺はさっさとベッドから降りると、トイレへ急ぐ。


「そうか、仕事だったね?なんか作るかな!パンでいいよね?」
トイレから出てきた俺に言うと、キッチンへと向かう。
その姿を見ると、なかなか可愛くもあり、俺の心の片隅で不穏な声がささやきかける。

一度くらいならいいんじゃないか?付き合ってるフリをしているんだし・・・・・なんて。





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