『曇天の月』 053


 「結婚は?」

いきなり先輩の西沢さんに聞かれ、俺は絶句した。


「・・・まだ、です。」
その一言を言うのが精一杯。
女に興味ないとか、つい言ってしまいそうで焦る。ここは、いつも行くバーじゃない。

「司と一緒か・・・!二人ともイケメンすぎて選り好みしてるんじゃないのか?」

「そんな事ないですよ。巡り会わないだけで・・・」
司は俺に返事をさせまいと、間に入って答えてくれた。きっとこういう質問にも慣れているんだな。
営業って、仕事に直接関係ない話でも、広げなきゃならない。でないと、付き合いが続かないんだ。
気苦労な商売だよな・・・


「西沢さんと奥さんって、どこで知り合ったんですか?」
俺は普通の質問をしてみる。結構馴れ初めを聞いてほしい人っているもんだから.........。

「自分は逆ナンだよ!あっちから声かけて来てさあ、何も男から誘わなきゃいけないって事は無いんだよな。君たちもそういうのあるだろう?」
西沢さんが、案外嬉しそうに話してくれたもんだから、俺も良かったと思った。
にこやかに話すその横で、司の顔つきが少し変わった。
- あれ・・・・・?なんかまずい話題を振ってしまったか?

「さあ、どんどん食べて、飲んで。何なら泊まっていくか?明日休みだしさ。」
「え、・・・・ハハ、そんな事は・・・・申し訳ないですから。」
俺が西沢さんに言うと、「飲み過ぎると奥さんに逃げられますよ。」と、司が言う。

「はい、はい。相変わらず厳しいなー、司は!」
西沢さんは短時間の間に、顔を真っ赤にしていた。酒には弱い方なんだろうか。



鉄板の後片付けをしながらも、男三人でバーベキューをして、案外楽しく過ごせた事に驚く。
仕事の内容も分かるからかな、話もしやすいし最初に感じた印象とは少し違って、楽しそうな人だと思った。
でも、俺の横で司はドキドキだったのかも。なんか変な事を口走らないかと、思って俺をじっと見ていたし.....。


「じゃあ、オレたちはこれで失礼します。奥さんによろしく。」
「ああ、残念だなあ、泊ればいいのにさあ。・・・ま、今度またゆっくり来いよ。真柴さんもまた一緒に来てくださいね。」

「あ、はい。有難うございます。」
西沢さんにそう言うと、俺と司が家の外でタクシーを待った




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