境界線の果てには。(011)

部屋に漂うのは、沈黙の重たい空気。

コトン.........

真咲が手にしたコップをテーブルに戻す。その音が部屋中に響いて、余計に二人の緊張感を増す。

ゆっくりと広斗に近づいた真咲は、無言のまま広斗の癖のある髪を撫でた。

そして頬に垂れた髪を耳にかけてやると、そのまま横をすり抜けて、ベッドの脇に脱ぎ捨てられた服を着始める。



「・・・なに?泊ってくんじゃないのか?」
広斗が横目で真咲の様子をうかがいながら聞いた。


「・・・電車、まだ動いてるから、・・・今日のところは帰るわ。おんなじベッドに寝て、なんも出来ないのはキツイからな。」


「・・・・・・」
確かにな.......「離れよう」なんて言っといて、隣で寝れないよな?!俺ってバカだ。



「じゃあ、明日学校で。おやすみ」
真咲は、感情のない声を広斗にかけると、そのまま振り返らずにドアを開けて出ていく。




パタン。 


ドアが静かに閉まると、広斗はその場に座り込んだ。




-おわった・・・・
真咲の返事は聞いていないが、イヤとも言わなかったって事が返事だろう。

これで良かったじゃないか、1年半前のただの同級生に戻るんだ・・・・・
互いに視線は交わしても、つながりはなかったあの頃に。





...........................いや、..........違うな、元には戻れないや。

アイツの温もりも、優しさも全部知ってしまったんだから。



広斗は、玄関のドアに残った真咲の残像を見つめていた。

..........................サイアク..........ヤバイ.............目の奥がじんじんする。.........涙が..............出る。




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