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勇者にも賢者にもなれない俺はときどき猫になる (39)


 リハビリが進む中、新たな年明けを迎えたが実感はなく。
固形物は少しづつ摂れるようになったが、人間の身体って本当に神秘的だと思った。医療で生命の維持は出来るが、機能回復は自力でしなくちゃならない。それは意外と辛くもあり..............
猫の身体に入っていた頃はあんなに軽く走れたのに、この脚は身体を支えるのがやっとだ。
俺がイラつきながら歩行器に体重をかけて歩く姿を見て、マナトは背中を支えながらため息をついた。

「イライラしても始まらないよ。しっかり食べて動かして筋肉が付けば歩けるようになるんだから。」

「..........そりゃそうだけど、...........こんなに俺ってやわだったのかと思ったら情けなくてさ。」

 マナトの顔を横目で見ながらがっくりと肩を落とす俺。

「そういえば転院の件はどうなった?お母さんと話した?」

「.........ああ、一応俺はこの病院でリハビリを続けたいって云ったんだけど、ここは治療の為の病院だから専門の所に行くしかないらしい。............仕方ないけどひと月はかかりそう。」

「そう、...............仕方ないね。でも、お母さんたちは安心するだろ、近くに居れば毎日だって顔を見に行けるからさ。」

「うん、............そうだけど................」

「オレは力哉が元気になればそれでいいし。.........お見舞いにも行くからさ。」

「.............うん」

 なんとなく言葉が続かない。別れる訳じゃないのに、マナトの顔が見られなくなると思ったら............

「元気出せって、........オレもリキも待ってるから。」

「............うん」


 病室に戻って来ると暫くして食事の時間になった。
マナトの休みを俺の為に潰してしまって申し訳ないと思いながらも、こうやって傍に居てくれるのは嬉しい。俺のわがままも聞いてくれるし。食事の後で歯磨きをしに洗面所へ向かい、その後で二人は個室に入った。そこでほんの少しのくちづけを交わすのが、今は一番の楽しみだった。誰かが入って来る気配に耳を澄ませながら、マナトの柔いくちびるを軽く食んで開かせるとその中にそっと舌を忍ばせる。互いに絡めた舌が熱を帯びてくると俺の身体も徐々に興奮してくる。が、今は立っているのがやっとで、この先はまだまだお楽しみにしておくしかなかった。


「じゃあ、オレは帰るね。」

「うん、ありがとう」

 面会時間の終わる頃、マナトは俺の病室を後にして帰って行った。
とにかく俺が頑張って身体を直せば早く戻って来られる。今はそう信じてリハビリを頑張るしかなかった。



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長々と更新をお休みさせて頂きました。

もう本当に身体は大切にしなければ。

コメントで優しい言葉を頂き本当に感謝です!

ゆっくりと続けさせていただきますので、今後もよろしければ読んでやってください。

今年も宜しくお願い致します!

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