境界線の果てには。(012)

-頭が痛い-

昨夜、真咲を見送った後、俺はバカみたいに泣いた。ガキみたいに声まで上げて............
その後、自分でも何やってんだか・・・と思ったら、今度は可笑しくなって、腹がよじれるほど笑い転げた。

-なんなの?こういうの.......今まで経験ない。............すげー疲れた。


よろよろと歩いてる俺の後ろから、パタパタツという足音が近づいて来るので、振り返ろうとした瞬間、背中にドスン、と拳を入れられた。

「ってえ・・・痛い!!・・なにすんだよ」
「おーっす。」

声の方に目をやれば、そこにはヘラっと笑った高木の顔が。

「てめぇ、朝っぱらからなんの恨みが・・・・」
広斗が背中を撫でながら、もう片方の手で高木の腹にパンチを入れる。

「ふっ、なに、その顔?!泣いたんか?」
広斗の拳を軽く手のひらに受け取ると、高木は顔を覗き込んだ。



「うっせえな。バアちゃんが死んだんだよ。(うそ)」

「え、マジ?ごめん・・・」
高木は広斗の頭に手を乗せると、クシャクシャっとさせながら、「元気だせ?!」といった。
俺と真咲がどういう仲なのかを唯一知っている同級生。

-ごめん・・・ウソなんだけどな-
でも、今はそう思ってもらう方が気が楽だ。変にいろいろ聞かれるのは正直鬱陶しい。

「青木は就活してんのか?もう面接とか受けた?」

-あー・・リアルな現実に引き戻してくれるよな、高木くんは。
そうなんだよ、だから昨日・・・・   やめとこ。)

「俺さあ、アパレル関係行きたいんだよな。この間一社だけ面接受けたんだけど、保留だって。」
広斗が髪を描き上げ乍ら言う。

「俺は先週二社回った。・・・けど、今不況だろ?採用人数減ってるしなぁ。」

「俺らって、生まれてからいい目に合ってないのにさあ、大人の目って怖いじゃん。どうせ今どきの子は、とか言われちゃってさ。」
理不尽な世の中を嘆く広斗の横で、高木も大きく頷くが、急に立ち止まったかと思うと広斗の服の裾を引っ張った。

高木を見ると、どこかに目が釘付けになっていて、広斗もその方角を見る。

ガラス張りの渡り廊下の先にいたのは、真咲。と、同じクラスの女子。

今までなんともなかった光景が、今日は違って見えるのは何故なんだろう。こんなにも胸が締め付けられる。

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