『曇天の月』 072



 ぁ.......ん..........っ

腰を掴んで目の前に引き寄せると、おーはらが変な声を出した。

俺は気にせずベルトに手を掛け外していく。
それからファスナーを降ろして緩んだズボンの隙間から手を入れる。

小さく引き締まった腰は、触り心地もいい。
おーはらの臀部を貪欲に撫でると、そのまま下着ごと引き下げた。

俺が、おーはらの腰にキスをしようと近づいたその時、目に入ってきたのは赤い花のタトゥー。

あ・・・・・・。


思わず声が出た。

快感に流されて、このまま自分が何をしようとしていたのか。
そのタトゥーは、一気に俺を現実へと引き戻す。


「おーはらツ!!!」
そう声を掛けると、俺は目の前の腰を思い切り突き離した。


おーはらはドスンとひっくり返り、ベッドの下に落ちると、「痛、っ・・・・」と声をあげた。

「ご、ごめん。・・・ゴメン、大丈夫か!?」
あわてて腕を引き上げようとするが、その手を振りほどかれる。



「何なの?!・・・ビックリしたぁ・・・・こんなの初めてだよ。」
自分の腰をさすりながら言うが、その顔は呆れ顔だった。


「ゴメン、ダメだ。・・・・流されておーはらと寝ちゃったら、俺本当に取り返しがつかない。ダメ、ダメなんだよ、こういうのは!!」



下半身を晒しながら言うのも変な話だけど、俺は今まで一度も司を裏切ったことはない。
おーはらには申し訳ないが、やっぱりこんな形で司を忘れるのは違うと思った。


「・・・全く・・・・・律儀なオトコ。あの人に教えてやってほしいよ。」

背を向けた俺に、おーはらが呟いた。

「・・・・・小金井さんにも、悪い。こんな風におーはらを使ったら失礼だよな。・・・・お前だって、ぎりぎりの所ではそう思ってるんじゃないのか。」


................はぁ................っ


深いため息をついたと思ったら、おーはらは立ち上がってズボンをあげた。

「ヨメと喧嘩でもしたんでしょ?えっと、・・・・ツカサさんだっけ?!」

「・・・・・ケンカならいいよ。仲直り出来るかもしれないから・・・。俺たちのは、・・・・・」

そう言って頭を抱えた俺は、自分自身が情けなくなる。

ベッドの上で膝をかかえれば、おーはらの前なのに俺の頬を涙が伝いそれを拭うことさえ出来ないでいた。






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