境界線の果てには。(013)

広斗が、高木と二人で渡り廊下を歩いて行く。

少し先には真咲と、女。

-あ、あの娘前に真咲が食った娘だ。

自分とこんな関係になる前、真咲とあの娘の噂を聞いた事がある。すげぇ、おっぱいが大きいらしい。

俺は、正直おっぱいにはあんまり興味が無い。うちのおふくろがデカくて、歳と共に垂れてんのを知ってるから。

そもそも顔さえ可愛きゃいいと思ってるし。

教室の入口でイチャつくなっての!

「おっす、中野くん。ひょっとしてモトサヤか?」

高木が真咲に向かって言ったが、俺は聞かないふりをして、さっさと教室へ入った。
勿論、真咲の顔なんか見れないし、見られたら俺の方が困る。

「あつ、....」
と、真咲が俺の背中に言いかけたが、言葉は途切れた。

教室の一番隅っこに高木と並んで座った。窓側に座れば隣は高木だし、あいつが来ることは無いと思っていた。

「いいの?・・・」
高木が教科書を出しながら広斗に聞く。

「は?・・・なんのこと?」
広斗の問いかけに、高木が少しあきれ顔になる。

「あのデカパイ、真咲の事諦めてなさそうだよ?前にサークルの後輩に言ってたらしい。女の影はないし、絶対戻ってくるはず、だってね。」

「いいじゃん、戻ったんじゃないの?真咲はもともと”来るもの拒まず”、の人だし。」
広斗もカバンから教科書を出すが、思いのほかバンツ、と、大きな音を立てて机に叩きつけたので、高木の肩がビクツとなった。

暫くして講師が入ってきたので、真面目に講義を聞こうと思うが、真咲の姿が前方に無いので広斗の胸はざわつく。

もう・・・終わりにしたんだから、無視、無視。
アイツの事なんか気にすんなよ、俺。

「うふふ、、やぁだぁ、、、真咲ってばぁ・・・」

-げっ、この声は・・・
広斗の2列後ろの席に、真咲とデカパイがいるらしい。

隣で高木が振り返っている。

広斗は出来るだけ平常心を装い、後頭部に神経を集中させているが、絶対後ろを振り返らなかった。

45分の授業が終わり、なぜかぐったり疲れる広斗。

昨夜は泣いて笑って疲れたのに、今日は後頭部に神経注ぎつつ、目は前を向いておくという荒業をこなした。

-俺ってば何やってんだろ・・・・・?

「青木、・・・お前顔色悪いぞ?なんか青紫色に見えるけど。」
「は?・・・まさか・・・」

そう言った広斗だったが、ちょっと疲れ方が異常と思い額に手を当てた。
「あ・・・熱い・・・俺、熱あんじゃね?」

そういうと、隣の高木に額を触れというふうに顔を近づけた。

高木は「どれ?」と言って、手ではなく自分の額を広斗の額にくっつけてきた。

「おわっっ!!」

叫んだのは、2列後ろに座る真咲だった。




スポンサーサイト

コメント

非公開コメント