【曼珠沙華】 炎に落ちる 006


 眠れない夜は、たまにあの日の事を思い出す。

俺を見た桂の瞳が揺れていて、高揚した頬が暗がりの中で分かるほど色づいていた。

自分の唇を指でなぞっては、あの時の気持ちを思い起こした。
でも、結局自分では答えが出せないでいる。
俺はホモなんだろうか・・・・・・。

あの雰囲気に興奮を覚えただけだったのか・・・・。

周りの友達が次々と彼女を作る中、俺はひとり距離をおく。
さつきと付き合っていた時とは違う。確実に、もっと大人の付き合いをはじめていた友達に、俺は戸惑いを隠せない。
かといって、その中に自分の身を置く覚悟もなかった。

もし、本当に女の子と関われないと知ってしまったら・・・・・怖い。



最悪だ・・・・・・。

誰にも言えない・・・・・・・。




- - - 
週末はあっという間にやって来た。

長谷川からの電話で、近くのコンビニで食べ物を買うからと言われ駐車場で待っていた。


「何してんの・・・・・・?」
その声で後ろを振り返る。


メガネの奥で、懐かしい大きな瞳が俺に微笑んだ。

「ぁ..........、よう、久しぶり。」
意外にも、普通に挨拶が交わせる自分に驚く。


「ほんと、久しぶりだな。・・・・・背、伸びた?」

桂が俺の顔を見上げると聞いて来た。

「お、う・・・。175かな・・・。お前は・・・・」
言いかけて、止めた。

桂とは、中学の頃まで同じくらいの身長だった。でも、今は・・・・完全に俺の方がデカイ。


「高校1年で身長止まっちゃったよ。千早デカくなって羨ましいな。」

屈託のない笑顔を向けられると、変な感じだ。
俺ひとりが、意固地になって桂を避けていたみたいで・・・・・。

それとも桂にとって、あんな事は大したことじゃなかったんだろうか・・・・。


「あツ、二人とも何?ここで会っちゃった?!」
賑やかに言うのは、長谷川で。
俺たちを見つけると、大きな声でおどけて見せた。

「丁度良かったよ、それぞれに食いたいものとかあったら買おう。おれがおごってやるし。」

長谷川が太っ腹発言をして、俺と桂はお菓子の棚を物色し出す。

中学の頃に好きだった、変な味のグミをカゴに入れる桂を見ては、変わっていない姿にホッとした。

コンビニの袋を下げて桂の家に向かうが、ほんのわずかの距離しか離れていないのに、遠い所に住んでいる友達の家に来たみたいな感覚になる。

この道を何度遠回りしてきたか・・・・・・。

桂の家の前を通らない様に避けてきたのに・・・・・。



- バカみたいだな...........俺。



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