【曼珠沙華】 炎に落ちる 010


 学校からの帰り道、いつもの様に柴田と並んで川沿いの道を歩いていると、不意に「小金井くん」と、後ろから呼ばれて振り向いた。

目に入ってきたのは、はじめて見る二人の女子高生の姿。
制服は、電車の中でよく見かける女子高のものだ。

「・・・・はい?!」

返事をする俺の顔を知っているのか、二人のうちの一人が俺の前に歩み寄る。
なんとなく、こういうのは肌で感じるっていうか・・・・・

前に、さつきに告られた時もこんな感じで、ちょっと身構える俺がいた。


「あの、再来週の土曜日に学園祭があるんですけど、・・・・良かったら来てもらえませんか?」

手には封筒を持っているが、ラブレターとは違う様だった。
少し色の薄い瞳をした可愛い娘だったが、俺は返事に困る。

しばらく何も言えないでいると、横にいた柴田がその娘の封筒を取り上げて俺の胸に突きつける。

「ちょ、・・・おい、・・・・」
手で拒否するが、無理やり押し付けられて仕方なく受け取った。

「あの、中に私のクラスとか、色々書いてあるんで、良かったら読んでください。」
赤くなりながらも言う事はしっかりしていて、俺の方がタジタジだった。

「あ、の・・・・。行けるか分かんないし・・・・。」

「来れたらでいいんです。その時間に居ますから、もし来れなかったら・・・・・それでもいいです。すみません突然。」

そう言うと、二人は向きを変えて振り返らずにバタバタと走り去って行った。



「・・・ひゅ~っ!」
変な声を出した柴田が、俺の背中を小突いた。

「なに!?・・・・なんで俺?」

仕方なく、手にした封筒の中を開けて見る。
学校名とクラス名、出し物と時間帯。それから自分のプロフィール・・・・・?

- プロフィールって何?

「いいなぁ~、小金井モテモテじゃん。」
柴田に茶化されて、恥ずかしいから封筒をポケットにしまった。

「うるせえよ。・・・あんな娘知らないし、学園祭とかめんどくせぇ。お前行って来い。」
そう言って柴田に体当たりをした。

「あ、、、、、」
ちょっと強く当たり過ぎたのか、柴田がよろけながら土手の方へ降りて行った。

「あっ、、、、、あっ、、、、、、、」
そう叫ぶと、土手に群生している彼岸花に突っ込んで行った。

ざくざくと茎を踏んでしまい、柴田は焦ったが、俺も焦っていた。

「ヤバイ。花が落ちちゃったじゃんかよ~・・・・・」
柴田の足元にポトリと落ちた花が、痛々しい。

「あ~あ、なんか呪われそう・・・この花怖い。」

「なんだよ呪うって・・・・・怖くなんかねぇよ、別に。」

俺はそういうと、足元の花を拾った。

こんな風に直に触るのは初めてだった。
俺の親は、駅の近くで花屋をやっているけど、彼岸花は店では取り扱わない。
この通学路で目にするようになり、俺はなんとなく好きになったんだ。

「この花って墓地に咲いてるイメージだもん。なんでこんな所に群生してんだろうな。」
柴田の中のこの花のイメージが不吉で、俺は可笑しくなった。

「バカだな、そんなの花に聞けって。・・・綺麗じゃん、この花。」

折れてしまった花を一本手にすると、また上の道を歩き出す。

「それにしても簡単に花が落ちるよな。」
俺は足先で、ちょっと掠めるように蹴ってみた。

すると、道端の彼岸花の花が、ポトっと落ちてしまった。

「あ、・・・・」
一瞬ヤバイと思った時、

「コラッ少年!花に何てことするんだ。」

大きな声が背後で聞こえて、俺も柴田もびっくりして肩が上がった。
そうっと声のする方を見ると、背の高いチャラそうな男がこっちを睨んでいる。


茶髪で、耳には大きなピアスをはめていて、なぜか裸足にサンダル履きといういで立ち。
目鼻立ちの濃い顔をした若い男が、俺の手にした彼岸花に目をやった。

「触るな、毒があるんだぞ。」

そう言って、俺の手を振りほどくと地面に花を落とす。

急に捕まれた腕が痛くて、驚きと痛みとで、俺はその人の顔を睨んでしまった。




ご覧いただき有難うございます
ランキング参加中です(*^^)v
にほんブログ村 BL・GL・TLブログ BL小説へ
にほんブログ村

スポンサーサイト

コメント

非公開コメント