【曼珠沙華】 炎に落ちる 027



 「要するに、その光景を見て興奮した、と・・・。」

「・・・ま、ぁ・・・・、興奮ていうか・・・・。」

「そりゃあ、目の前でイチャついてるのを見ちゃったら、それが男同士だろうと男と女だろうと、恥ずかしくなるのは仕方がないだろ。」

俺の顔を見ながら言うが、確実に口元はニヤけていて、なにか含みを持たせていた。
あんまり俺を見ないでほしくて下を向くが、天野さんはお茶を手に取ると俺に渡し、「ウブだな、千早くんは。」と言った。

「え・・・・?」

「てっきり恋愛経験豊富だと思っていたけど、違ったんだな。まあ、アソコもきれいなままだったしね。」
フフン、と鼻で笑った気がして、急に恥ずかしくなった。

「あ、アソコって・・・・!!」
思わず自分の股間を押さえる。

「ごめんごめん、裸になったらどうしたって見えてしまうもんな。千早クンのはまだ成長過程だったね。」

天野さんがニヤけていうから、最高に恥ずかしい。
それに、成長過程って・・・?!

「やめてくださいよ。そんな事より、この前言ってたけど、天野さんってホモ・・・じゃなくて、なんて言いました?」

「ああ、バイ、だね。・・・オレは女の子も男の子も好きなんだ。好きになったらキスしたくなるだろ?その先だってしたい。」

堂々と言われて、逆にこっちがこんな質問をするのがおかしいのかと思う程。
天野さんは、自分の性癖を恥ずかしいとは思っていない様で。

「もし、近くにいる友達がホモとかバイだったら、どうやって接したらいいんですか?」
一応、’友達が’という事にしておく。

「それは千早くんの友達が。という話だね?! オレならラッキーって喜ぶトコだけど、別に友達関係には変わりないだろ?千早くんが気持ち悪いっていうんなら話は別だけどさ。・・・どう、気持ち悪い?オレ、とか。」


「・・・・・それは、・・・・・」

返事に困る。天野さんを気持ち悪いとか思えないし、自分で自分を気持ち悪いとも思えない。すべてが俺なんだから・・・。

「試してみようか、どこまで近づいても大丈夫か。」

「え?」
と言って顔を上げた途端、天野さんの顔が俺に近づいた。
横に座って、腕は俺の腰に回している。さっきも思ったけど、人との距離が近すぎるんだ。

俺は少しだけ硬直するが、別にイヤと言う程ではなかった。
天野さんのあっけらかんとした性格も、さっきの真剣な眼差しもいいとは思う。ただ、好きって程なのかは分からなくて。

「オレは、千早くんとならキスできるし、むしろ、凄くシタイ。」

「・・・・・。」

僅かに俺の首が横へ引いてしまうが、天野さんはなおも顔を近づける。

「シタイなぁ・・・・・。その唇に何人の女の子が触れたんだろうねぇ。・・・・ね、何人?」

「・・・・・・・・・・」

何人と聞かれて、完全に俺の目は泳いだ。天野さんを見ることが出来ずに天井に目をやる。

「・・・・・おいおい、もしかして、一度もキスしたことがないとか?!」
「に、・・・2回!!・・・・有ります・・・・。」

つい反動で言ってしまったけど、益々恥ずかしい。たった2回とか。・・・・・サイアク・・・・・。
しっかり、桂とのアレも数のうちに入れてるし。
しかも、それを入れて、たったの2回・・・・・。


「う、・・・・ホントに?・・・へぇ・・・・。」
天野さんが力なく笑った気がした。






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