境界線の果てには。(017)



背中に真咲の視線を感じながらも、振り返ることなく廊下を歩いて行く。

昨日までの楽しい思い出は封印しなければ、と思った。

アイツ(真咲)の言葉に縋ってしまったのは俺が弱かったから。

人とは違う俺の性。
それを持て余して、同性とでもセックスできると知ると、夢中になった。

何だっていいさ、人の温もりを感じて、たぎるものを解き放ちたかった。
それだけの事だ・・・・

真咲にあんな事されなきゃ俺は男でいられた。

又そこに戻るだけだ。

広斗は自分に言い聞かせるように、何度も頭の中で繰り返した。

電車に揺られながら、過去の思い出も流れる景色のように遠ざかる。

これでいいんだ..................

ぼんやりした頭で、家までたどり着くと、アパートの階段をいつものようにカン、カン、カンツと駆け上がった。

広斗が部屋の鍵を差し込もうとしたとき、同じようにカン、カン、カンツっと駆け上がってくる音がする。

ドアを開けて部屋の中に入る前、ふと足音の方に目をやった。が、思い切り目を見開いてしまった。

そこにいたのは、さっき学校の廊下で別れた真咲。

「・・・・・オマエ・・・ストーカーになったのか?」
思わず口をついて出た。

俺が言った言葉を全く気にしていないのか、いつものように俺の顔を覗きこむとニヤッと笑う。

「もう…ほんと、かんべ・・」
言いかけた俺の言葉が真咲の口で遮られた。

ぅぅ................ン..........

そのまま強い力で首と腰を掴まれ、部屋の中へ押し込められると、壁に貼り付けるように押さえられた。

真咲の舌が、強引に俺の口の中をまさぐり、息が苦しくなる。両手は完全に頭の上で交差され、身動きが取れなかった。


スポンサーサイト

コメント

非公開コメント