境界線の果てには。(018)

-どうしてお前は・・・・・
俺を放っておいてくれないんだよ!!

絡まる真咲の舌が口を離れた瞬間、せき止めていた感情が広斗の胸にどっと押し寄せた。

両手を頭の上で捕らえられたまま、広斗の頬を一筋の涙が伝う。やがてそれは、ぽろぽろと大粒の涙になり、さすがの真咲も腕を離した。

「お、おい・・・ちょ…っと・・・」困惑する真咲の前で、広斗は玄関の床にしゃがみ込む。

「ごめん!…なんで泣くんだよ…?」
同じく真咲もしゃがみ込むと、広斗の肩を揺さぶりながら言った。

せっかく瞼の腫れがひいてきたのに、またもや広斗は大人げない声を上げて泣いた。

ぅえっ、.............ぅうっ...........えっ..........ぅえ...........ぅえっ......................

マイッタ。という顔の真咲は、額に手を当てるとそのまま自分の頭をゴツンと叩いた。

-こんなはずじゃなかった・・・
 昨夜の気まずさをなかったことにしようと思って、少しふざけすぎたか?

「ほんっと、ゴメン!!ふざけた。ふざけすぎだよな?!ストーカーみたいな真似してさ、襲ったりして…ごめん」

広斗の躰を包み込むように抱きしめると、うな垂れたおでこを広斗の肩に乗せる。

...........ぇっ................ぇ................ぇ......  ......   ......。

やっと落ち着いたのか、広斗は真咲の腕を剥すと立ち上がった。そして、無言で靴を脱いで部屋に上がると、冷蔵庫から水を取り出し飲んだ。

その様子をじっと見守る真咲だが、広斗の鼻が赤くなっているのを見て、プツと吹き出す。

「なんだよ、なんで笑ってんだよ。この変態。」
広斗がペットボトルの水を飲み干すと怒って言う。

「・・・だって・・・ふふっ・・・コドモみたいで・・・さ・・・ふふっ」

真咲の言葉でさらにふてくされる広斗。

-自分でも驚いてんだよ。こんなにガキみたいに泣いたりして・・・・
 きっとアレ、情緒不安定。そういうの前にもあったから・・・事故の後だったか・・・。


「広斗が悪いんだよ?!離れようなんて言うからさあ。」

「・・・は?」

「離れるってどういう意味?消えて無くなれって事?」

そう言われて、広斗は考える。普通は、「別れる」っていう事だけど、と。

真咲にはそれが伝わらないのか?

「別れる。別れたい。別々に生きる。もう俺に近寄るな。・・・っていわれたかったか?」

少々キレ気味に言ってやる。が、真咲は表情を変えなかった。


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