【曼珠沙華】 炎に落ちる 045



 お互いの顔を横目で見るように話すと、また俯く俺たち。

「今日はクリスマスだろ。何処か行かないのか?デートとか・・・・」
桂はうつむいたまま俺に言った。

「・・・行かない。・・・・・店の手伝いしてたんだ。」

「へぇ、・・・前に、・・・・・・・・・前に車に乗せてもらってただろ?!アレ、誰なんだ?」

「え?!・・・・・」

桂が俺の方に顔を向けると聞いてくる。
どうしてここで天野さんの事が?
まあ、目撃されたのは一度じゃないし、不思議に思うのかもな。
歳も離れているし、俺なんかと友達には見えないか・・・。


「あの、有楽街に入る手前の大通りに面した美容院のオーナーだよ。うちのお客さんで。」
一応、本当の事だし言っておく。

「ふうん・・・、なんで朝車に乗ってたの?送ってもらったみたいだったけど。」

「・・・うん、まあ。」

「千早さぁ、昔オレが言った事覚えてる?前も聞いたかも、だけど。」

「・・・ホモ、っての?!・・・」
俺は心なしか桂に背を向けて聞いた。
目を合わせて聞く勇気が無くて、はぐらかすにはウソがバレそうで・・・。


「気を悪くするかもしれないけど、二回目に見た時、なんか・・・・・千早、変だった。ひょっとして、あの人と付き合ってんのかって思ったんだ・・・・・。」

「・・・・・・・・・・」

言葉が出て来ない。
桂の洞察力っていうのか、勘が鋭いっていうのか・・・・・。

「オレは人に言ったりしないから、ウソはつかなくていい。・・・付き合ってんだろ?!」

尚も桂はしつこくて・・・。

「そんなの聞いてどうするんだよ。何でもないよ、お客さんだし・・・。俺、そろそろ帰るな、もう面会時間終わるだろ?!」
そういうと、椅子に掛けたバッグを肩にかける。

「じゃあ、お大事に。」
椅子を仕舞って部屋から出ようとした。
でも、一瞬足が止まってしまった。

「ウソ、・・・・ついてんのお前の方じゃん。」

「は?」

桂が聞き返す。

「彼女とキスしたとか、その先も、とか・・・。ウソじゃん。」

口から出した言葉に、自分で驚いた。どうしてこんな話をしてしまったんだろう。
いうつもりはなかったのに・・・。

「・・・・・なんで?!千早、貴理の事知ってんのか?」

多分桂は焦っていると思う。
顔は見れないけど、声が上擦っている。

「友達経由で知り合ったけど・・・、別に親しいわけじゃない。」

「中島 杏、か・・・・。あの子、お前に告った?」

「・・・・・うん、まあな。でも俺は断ったけど。」

「やっぱりか・・・・・。あの娘なら言っちゃうかもな。貴理と別れても意味なかったか・・・。」

桂の言い方に違和感を覚えた。
彼女と別れたのが中島さんのせいみたいで。

「桂?!・・・どういう事?お前が彼女と別れたのと、俺と中島さんの事は関係ないだろ。」

「・・・あるよ。」

「え?」

「だって、お前を紹介してくれっていうんだ。それで4人で遊びに行こうって・・・。そんなのイヤだし。」

「は?!・・・なんで、お前がイヤとか言うんだよ。俺が決める事だろ。」

「・・・・千早が、・・・・・」

そこまで言うと、桂は急に黙り込んだ。





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