【曼珠沙華】 炎に落ちる 051



 桂と俺・・・・・。

あれ以来、どうもうまくいかない。

柴田や長谷川の様な友人関係から、少し逸脱してしまったからか・・・・・。



互いに意識し過ぎなんだろうか・・・・・。







- - - 

ついに大晦日を迎え、今年最後の日、天野さんからメールが来た。

美容院が9時に終わるから、その後お店においでと誘われる。
店のスタッフと年越し蕎麦を食べる事になっていて、俺も一緒に参加するようにと言われた。

天野さんが色々なイベントに俺を呼んでくれるから、スタッフの人たちとも親しくなれた気がする。
こんな高校生の俺が、あの大人の人たちに混じって話せる機会はそうそうない。

そういう意味では、凄く感謝している。

ただ、俺と天野さんの関係性がよく分からないままで・・・。
身体の関係があって、気持ちも惹かれている。それなのに、何処かでやっぱり線引きをしているんだ。

歳が離れているせいか、俺が子供過ぎるせいか・・・。



「じゃあ、行ってくるな。この飾りを渡しておけばいいんだよな。」
母親に聞くと、紙袋の中身を確認する。

「そう、お願いね。・・・あ、帰って来るの歳が明けてからでしょ?!鍵持って行ってよね。」

「うん、持ったよ。適当に帰って来るから、じゃあ、良い年を・・・なんちゃってな。」

天野さんは酒を飲むから、今夜はマンションに泊まるだろうし、俺にも泊まれって言いそうだ。
もし、時間があったら神社に初詣に行こうかな。

そんな事を勝手に思っていた俺は、意気揚々と美容室へと急いだ。
繁華街へと続く通りは賑わっていて、人通りも多く、普段見ないような若い連中もウロウロしている。
その間を縫うように、紙袋を持った俺が歩いていると、ガサッと袋の当たる音が。

よそ見をしていた俺が、手元の袋に目をやる。

袋の取っ手が片方ちぎれてしまい、じっと見る俺にどこからか手が伸びてきた。

「おい、痛ぇな。」

そう言って俺の腕を掴んだのは、革のライダースジャケットを着た男。
見ると、鼻と眉毛の所にピアスをしていて、耳にもジャラジャラとついていた。

一瞬俺は息を飲む。

「あ、・・・すいません。」
そう言って一応謝るが、こっちだって袋の取っ手をちぎられてるんだ。
男のズボンについた鎖の金具が引っかかったんだろうと思った。

仕方がないから両手で袋を抱えると、その場を去ろうとする。

「おい、ちょっと待てよ。」

尚も、ピアスの男が俺に絡んでくる。

- めんどくせぇな。


心の中でそう思ったが、急いでいたし穏便に済まそうと思った。

「・・・なんですか?俺、謝りましたよね。」
こんな高校生に絡んで、恥ずかしくないのかよ・・・。と思った俺に、男が口元を上げる。

「お前、キレーな顔してんじゃん。」
そういうと、顔を近づけてくるから気分が悪くなる。

俺の周りをぐるりと回って、ヘラヘラと笑っている。


「すいません、俺ちょっと行かなきゃいけないとこがあるんで、失礼します。」
男の身体を避けるように前へ歩き出すと、「ちょっと待てってば。」と言って、また後ろから腕を掴まれた。

- もう、何なんだよ・・・・コイツ。
腕を引き離そうと、からだを捻りながら歩く俺に、思いっきり顔を寄せると「こんなに髪の毛伸ばしちゃって、キレーな顔して、お前オカマ?」とタバコ臭い息を吐きかけられた。

- オカマ・・・・?!

「はぁ?!・・・・」
俺は、思わずカチンときた。

こんなヤローにオカマ呼ばわりされて、クサイ息吹きかけられて、今までで一番の屈辱。

「なに、どっち?やっぱ、掘られる方なんか?」
と、耳に入る言葉が気に障り、「ふざけんなよ。」と、こもる様に言ったが、尚も面白がって俺の髪を触りに来る。

「汚い手で触んな!!」
俺は思わず男を突き飛ばした。

「・・・ってぇ・・・・。なんだよオカマが・・・。」

「うっせぇ、黙れ!!触んなよ汚ねぇなぁ・・・!!」

「はあ?ふざけんな。」
「ふざけてんのはテメぇだろ。ジャラジャラ着けやがって。テメぇがオカマだろうがっ!!」

俺たちが、通行量の多い舗道の真ん中で罵り合いを始める。
と、誰かが交番に通報したのか、向こうの方から制服の警官の姿が見えて、俺はおもわず走って逃げ出した。




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