【曼珠沙華】 炎に落ちる 061



 二人して階下のリビングに降りて行くと、アネキが大きなトレーにケーキの皿を乗せている所だった。

「アンタたち、男二人で部屋に籠って、なにしてんのよ?!・・・」
じろりと俺の顔を見ながらいう。



こういう時、俺はうまくかわせないんだ。
根が正直者だから・・・・

「進路の話。千早、まだ決めてないっていうから・・・。」
桂はしれっとアネキに言って、トレーを持つとテーブルに持って行く。

「ああッ、もうそんな時期?!・・・そうだよね、高3になるんだもんね。」

「はい、まぁ、オレはもう大学決まっているし、後は千早の勉強でも見てやろうかと。」

「さすが桂くん。千早とはオツムの出来が違う!!」


- なんか・・・・・悔しい・・・・。



アネキの質問にたじろいでいる俺とは違い、桂はさらっとかわしながらも俺を出来の悪い子のように言う。

「あのなあ、俺だってやればできる子なんだよ。ただ、今はまだ、その時じゃないだけ。」



テーブルに乗ったケーキの中で一番イチゴの大きいものを取ると、自分の膝に乗せながら言った俺。

フフン、と鼻を鳴らしながらフォークで刺すと、イチゴを一口で頬張った。
すると、口の中に甘酸っぱさが広がり耳の下がツンとする。

「いッ、・・・耳んトコ痛い・・・!!」

肩をすくめて言う俺を見ると、アネキと桂が顔を見合わせながら笑ったが、俺は無視してゴクリと呑み込んだ。


こうやって、アネキを交えてしゃべるのも久しぶり。
桂は一人っ子だし、うちのアネキに懐いていたところもあって、久々の会話も違和感を感じなかった。

「なんでこんなに買ってきたんだよ。10人分ぐらいあるだろ。」
目の前のケーキの箱には、まだ出していないものが7個。一体誰がこんなに食べるのかと思って聞いた。


「ああ、好きなだけ食べていいわよ。」
そういうと、俺の方を見た目になんとなく怪しい光を感じる。

「・・・・なんだよ。何か企んでるな・・・?!」
アネキに聞いてみるが、「まあ、食べてから話すわ。」と言って、自分も大口を開けてケーキを呑み込む。

今度は、俺と桂が顔を見合わせた。

ケーキで俺を釣って、何か良くないお願い事とかしてこないだろうな・・・・。
急に食欲が薄れるけど、最後の一口を頬張るとごっくんと喉を鳴らして呑み込む。





しばらくすると、紅茶を飲み干した俺たちの前に、アネキが跪く。

「どうした??」
驚く俺の膝に手を乗せると、アネキは顔を真っ赤にしながら「あたし、結婚する。」と言った。




「・・・へ?」
「え?」


二人、口々に声が出る。それはあまりにも突然で、しかも弟の俺に言うとか・・・・・。

「え、親父たち知ってんの?」と聞く。
アネキはまだ大学生で、あと一年残ってるはず。
学生結婚っていうのは聞いた事があるけど・・・・・。


「言ってない。だから、アンタに応援頼みたいんじゃないのよっ!!ね、千早もあたしの味方になって。桂くんも!!」
そういうと、俺の膝を掴んでくるからのけ反った。

「うそッ!!ヤダやだ。そんなの・・・・・ウソだろ~?!」

叫んだ俺の声は、静かなリビングに響きわたっていた。





ご覧いただき有難うございます

にほんブログ村 BL・GL・TLブログ BL小説へ
にほんブログ村

人気ブログランキングへ
スポンサーサイト

コメント

非公開コメント