【曼珠沙華】 炎に落ちる072


 「ねえ、アタシも混ぜてくれるのかしら?」

「ぇえ?・・・・い、いや・・・・冗談、ですから!!か、帰ります!!」

そういうと、男は俺の横から飛び出して行く。
急いで仲間のテーブルに戻ったかと思えば、その連中を引き連れて店を出て行った。


「あの、・・・・・どうも有難うございます。」

「アイツら、アンジーって店に出入りしている連中だから、後でオーナーに言っとくわ。アタシの可愛いボーヤにちょっかいかけんなって!」
「え・・・?」

俺がキョトンとした顔で、その人を見上げていると、隣で黙って聞いていた天野さんが笑い出した。

くくくっ・・・・・

「ちょっと、先に紹介してよね!謙チャン。」
笑っている天野さんを肘でつつきながら言うけど、俺は生まれて初めて生のオカマを見てビックリしていた。

俺の中の「オカマ」は、テレビの中の人だったから・・・。

「ゴメン、ビックリするよな。こんなゴツイのが来たら、さ。・・・この人はうちの店の裏通りでゲイバーをやってる人。」

「どうも~。立花 はじめですウ。一応雇われママやってるから、成人したら是非。」

そういうと、俺と桂にバッグから出した名刺をくれる。



「・・・どうも。」
二人で頭を下げてもらうが、あまりの指の太さにおののいた。

「こんな時間にご飯食べながらデートか?」
天野さんが聞く。

「え?・・・あぁ、まあ・・・。」
ちょっと恥ずかしくなって小声で言えば、隣の大きなオカマの人は「いいわねぇ~。青春しちゃって!!アタシももう一度高校生に戻りたいわぁ~」と、身体をくねらせながら言った。

「どのみち、戻ったって気持ち悪いオカマじゃないか。今もそう変わらないって。」
「あっら~・・・ヒドイ。あれほど答案用紙移させてやったのに。誰のお蔭で卒業できたと思ってるのよ!」

二人のやり取りが面白くて、つい聞き入ってしまったが、
「同級生なんですか?」と天野さんに聞けば、「そう。」と言った。

なんとなく、二人の関係は聞かない方がよさそうで、俺は桂の方を見ると目で合図をする。

「あの、俺たちこれで失礼しますから。有難うございました。」

そう言って席を立つと、二人でお辞儀をする。


桂も、今日は天野さんに嫌な顔は出来なくて、すんなりとレジの方へ歩き出した。


「千早くん。」
声がかかり、振り返ると、天野さんがにこやかに微笑んでいる。

「幸せそうな顔してる。・・・・勉強頑張って!」
そういうと、二人は席についた。


俺はなんとなく嬉しくなる。
桂と居る事で、俺の顔が幸せそうに見えるのなら、やっぱりこの恋は正解だったという事だ。
意地を張って、遠回りをしてしまったけど、これからは出来るだけ一緒に居ようと思った。

天野さんも、きっと俺たちを応援してくれる。
そう思うと心強かった。






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