【曼珠沙華】 炎に落ちる078




 桂のじいちゃんが倒れてから3か月。
今はリハビリ病院へ転院していて、そこでまた入院生活が続いていた。

相変わらず桂にくっついている俺は、勉強を教えてもらう名目で桂の家に入り浸っている。

ばあちゃんも、モチロン一緒に居るんだけど、俺たちがいる2階の部屋には上って来ない。
そんな事もあって、ついつい桂との甘い時間を過ごす俺は、志望大学も決まると気持ちを引き締めなければと思った。

「なあ、桂はどうして建築学部受けるんだ?お父さんもそういう仕事だっけ?!」

ベッドを背もたれにして、問題集をめくりながら聞いた。

「いや、うちの父親は金融関係の仕事。ニューヨークにいるんだけど・・・・。オレは、設計とかそういう細かい仕事をしたいんだ。物を創るって事に憧れる。」

机に向かっていた顔を俺に向けると、恥ずかしそうに微笑んで言う。

前に、アネキの婚約者の友田さんと出会った時、未開の地で橋を架けたいって話を真剣に聞いていたから、なんとなく想像は出来た。どちらかと言えば、桂はロマンチスト。

超現実的な俺と違って、夢の大きさが違う。
それに、いつも誰かのために動いている気がする。それが近しい俺やばあちゃん、じいちゃんの為だとしても、なかなか自分の事を後回しにしてまでは出来ない。それをやっちゃうところが、桂の最大の長所であり時には短所にもなる。

「桂はさあ、もっと自分の夢に貪欲になったらいいんだ。・・・・・・・って言う俺が、一番桂の足引っ張ってるんだけどな・・・。」

言ってみて反省した。桂の優しさに付け込んで、予備校の講師の代わりにしちゃってるんだ。



「千早は気にすんなよ。オレが千早と居たいんだからさ。予備校とか行っちゃったら会う時間無いもんな。」

「・・・うん、まあ、な。ヘヘヘ・・・」
ちょっとくすぐったい。

こういう事を正直に言える桂が大好きだ。

俺はなかなか言えなくて・・・。本当は俺の方が、桂と居たいって思ってるんだけど。
男同士、というのを除いても、好きとか、そういう気持ちを声に出して伝えるのは照れる。できたら察してほしいっていうか・・・。

言わなくても分かるだろ。的な考えはちょっと古いのかも。
心の中では好き好き光線出してんだけどな。








- - - 
首筋に当たる冷たい風で、俺の伸びきった髪の毛はふわりと舞い上がる。

- そろそろ髪の毛切らないとな・・・。

そう思ったら天野さんの顔が浮かんできた。
桂が嫌がるかと思ってそのまま放っておいたが、さすがに肩より下に伸びてしまい教師にも切って来いと言われていた。

取り敢えずは一つに結わえると、くるりと回して輪っかを作り邪魔にはならない様にした。

このままだと、またオカマ呼ばわりされそうだな・・・。









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