境界線の果てには。(027)

末永クリニックを後にした広斗の視線の先に、商店街の雑踏に紛れたアイツの姿があった。

「まさき~、、お前、ホントにストーカーみたいなんだけど~」

そういう俺の言葉に笑いもせず、真剣な顔で近づいて来るからちょっとビビッていると

「病院行くならそう言ってよ!また途中で倒れるんじゃないかって、家までこっそりついて行こうと思ったら、知らない病院入ってくしさぁ。帰るに帰れないないだろうが。」

-あれ、ちょっと逆ギレ?

「別についてくんなよ。いいって言ってんだからさぁ。」

俺もちょっと不愉快になって口走ってしまった。本当は嬉しかったのに・・・・・

「なら、もう帰るし!悪かったな、付きまとってサ。」

そういうと背中を向けて帰ろうとした。

「ぉお、、っい。待てよ!!」
俺が慌てて真咲の袖を掴むと、振り向きながら真咲の口元がニヤリと上がる。

-あっ、わざとか?

「うっそだよ。なに焦ってんだよ、可愛いな広斗。」

こういうやり取りが、余計ムカつく。正直、俺は真咲の優しさにどっぷり浸かってしまっている。

だから、少しぐらいの我儘や横柄な態度も許されると思ってるんだけど、時々試すように、こうして手放されると一気に不安になるんだ。

「・・・可愛いとか、男に言うなよ。・・・けど、・・・サンキュ。」

目と目で気持ちを伝えあい、二人で歩き出すと、真咲が広斗の肘を掴んだ。

「え?なに?」広斗が聞くと

「こうしてれば、倒れたとき地面に付かないから。」と言われ、そういえばさっき末永先生も俺の肘を持ってたな、と思い出す。

「そんなのどこで教わった?手じゃダメなのか?」と聞く。

「教わらないけど、手じゃぁ地面までの距離が近いだろ?肘ならもう少し上だし、脇の下に手も入りやすくて支えやすいんだ。」

そんなことを考えて居るんだ、と感心する広斗。

「今日だって倒れたときに、オレが肘掴んで抱き寄せたから無事だったんだよ?!」

そう言われ、覚えていないが改めて真咲に感謝する。

-そういう些細な事でも、俺の事守ってくれてるんだな?!

じわじわと、真咲の有難みが身に染みた。

「今日は、俺のおごりで〔Sマート〕のステーキでも買っちゃうかな?」

広斗が言えば、隣の真咲は拳を握って、やったー、と嬉しそうだ。

ホント、どんだけ肉に飢えてんだろうな!?  クスツ と微笑む広斗に、昼間の影はなかった。




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