【曼珠沙華】 炎に落ちる147


 店の片付けに時間を取られ、俺が家に戻ったのは夜の10時をまわっていた。
何か食べられるものをと思ってコンビニに寄るが、おーはらが仕度をしているかもしれないので携帯に電話を入れる。

・・・・・呼び出しの音の代わりにメッセージが流れ、何故か電源が切れているらしい。

- おかしいな、サイレントになっていても電源を落とすことはなかったのに・・・・
何処か電波の届かない場所にでも行ったか・・・・?


取り敢えず、つまみになりそうなものとビールを買った。
それから謙が来たときの為に、カップアイスを三つ。

家に着いて玄関のカギを開けて入る。と、そういえば玄関のたたきがスッキリしている事に気づく。
朝は気にも留めなかったが、おーはらの数少ないスニーカーが見当たらない。

下駄箱の中にしまったのかと思って見たが、そこにもなかった。
不意に、胸がざわつき始めると、慌てておーはらの使っている部屋のドアを開け放った。

布団はきちんと畳まれていて、アイツの学校の教材も見当たらなくて、もちろんあのデイパックも。

俺は部屋の中をぐるりと見渡すが、もともと置いてあるものはそのままで、おーはらがここに来る前の状態に戻っていた。

- アイツ・・・・どこ行った?




その晩はビールを飲みながら、心を落ち着かせようとして普段は観ないテレビを点ける。が、気を抜くとおーはらの姿が脳裏をよぎって、余計にざわついた。

立ち上がって、もう一度下駄箱と部屋の中を見直すが、やっぱり何もない。

置手紙すら無くて、本当にどうしたのか分からないまま、一夜を明かした俺。


翌日になって、店に出る前に天野さんの美容室へと足を運んだ。
こんな事は滅多にないが、朝から美容室のドアを開けると天野さんがいるか確かめた。

「おはようございます。・・・オーナーは昨夜から実家に行かれてて、今日は店には来ないと思いますよ。」
そういったのは、新人の美容師さん。

「・・・あの、昨日はバイトのおーはら君来てましたか?」
俺が聞いてみると、「さあ、私は昨日お休みだったので・・・」と言って別の女の子におーはらの事を聞いてくれる。

「ジュン君は来ていましたよ。普通に8時に終わって帰りましたけど・・・・、何か?」

「・・・いえ、別に、・・・いいんです、天野さんに用があったんだけど、電話入れてみます。ありがと。」

軽く手を上げると、お礼を言って店を後にした。



ふぅぅぅ~っ

兎に角、この時間はどのみち学校へ行っている時間。
家に帰らなくても学校へは行っているだろうし・・・・待つしかないかな。


自分でも笑ってしまうぐらい心配になっている。
俺に従順だったおーはらの、突然の行動に、俺の気持ちがついて行けなくて。
どうしてこうなったのか、全く分からなかった。




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【カザミドリ】〔風見鶏〕僕を見ないで03

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