『君と まわり道』 02

 外観は古びたアパートだが、内装は自由にいじってもいいってのが気にいってる。
そう言って、拓海がこの部屋に置いてくれたのが2年前。

オレは大学3年生で、就活をしていた頃だった。
ゲイのクラブイベントに初めて参加して、調子に乗って写真に納まったのが母親に見つかった。
高校生がエロ本をベッドマットの下に隠すように、オレもその写真を隠してしまったんだ。

今考えれば、あんなの持っている必要ない。一夜限りのバカ騒ぎで、男を探しに行ったようなもんで、結局見つからなかったけど、その場は楽しかった。誰がくれた写真かもわからないんだ。捨ててしまえばよかったのに............。

 「俺はもう、淳を居候させる気はないからな。2年前で懲りたんだから・・・」

「・・・意外と根に持つね、拓海くん。あんなの若い男ならあり得ることでしょ?」

「いや、俺にかぎってはあり得ないんだよ。相手がお前だってのも、な!」

「・・・・・あッそう!!・・・・・オレで悪かったよ。」

カップに残ったコーヒーを飲みほすと、オレは流し台にそれを持って行き置いた。
拓海は首にタオルを掛けると風呂場へ行く。ドアが閉まり、しばらくするとシャワーの音が響いてきた。

部屋の中をぐるりと見回すと、壁に掛かったハンガーには、これから袖を通す紺色に細いグレーの縦縞の入ったスーツが掛けられていた。胸のポケットには合わせたネクタイが入れてあり、いつもながら用意がいい。

オレなんか、起きてからその日の服を選ぶから、いつも遅刻ギリギリ。
2年前も、何度も拓海に叱られたっけ・・・・・
でも、アイツがオレを拒むのはその事が理由じゃない。
あの晩、酔っぱらったオレが、あんな事したからだ・・・・・・・


カップを洗って水切りカゴに入れておくと、オレはデイバッグを背中に背負って拓海の部屋を後にする。

アパートの一階に降りれば、これから登校時間なのか、小学生が列をなして歩いていた。オレが大きなバッグを背負っているからか、その小学生を見守るための旗を持った母親にジロリと見られる。
・・・・・別に怪しい者じゃありませんよ~・・・・・

心の中で言いながら、取り敢えずオレの働くショップの前で待つことにする。
ここから自転車で20分。こんなに通勤に便利な物件、そうそう手放せねぇっての。






ご覧いただき有難うございます
ランキング参加していますので
よろしければ↓こちらもお願い致します
にほんブログ村 BL・GL・TLブログ BL小説へ
にほんブログ村

人気ブログランキングへ

【桔梗】の咲く家
ブクマ、フォロー、イイネ有難うございます
pixivでのイラスト、漫画も見て頂けると嬉しいです
では、続きはこちら↓
【桔梗】の咲く家 05

スポンサーサイト

コメント

非公開コメント