『君と まわり道』 03



 - ふぁ~~~~ッ、眠い.........

「淳くん、大きなあくびなんかしてないでよっ!!お客さんに見られるでしょ?!」
「はぁぃ。..........すみません。」

ショップの中の大鏡に映った自分の顔を見ると、首をすくめて謝った。
店長の山野辺さんは、アラフォー女性でバツ一子持ちの性格キツめ。オレなんて足元にも及ばない。
子供の為に仕事をガンバル姿は尊敬するし、外見も綺麗な人なんだけど、オレはゲイだし年上過ぎて興味がない。

駅ビルの中にあるファッション雑貨の店がオレの仕事場。でも、未だにアルバイト扱いなんだ。
大学の卒業を目の前にして、一応企業に就職も決まったが、ゲイであることが親にバレて勘当されてから、ふと思った。
オレは何のために企業への就職を決めたのか。
・・・・親の為だ。親に安心してもらって、一応名のある会社に勤めていれば、それですべてはうまく行くと思った。
なのに、息子がゲイだと知ると拒絶する。オレの歩んだ人生を間違いだった事のように否定されて、正直ショックだった。

オレが、親の為に無難な道を歩もうとしていた事は、ゲイである自分を恥じただけだと言われた。それを隠すために就職したんだと・・・・

そこまで言われて、自分で気づいたんだ。オレは、自分の為に生きればいいんだと。親とか世間の目とかは関係ない。
だから、企業には行かずやりたかったファッションや雑貨の仕事を始めた。

「明日、夏物が入ってくるから、ちょっと遅くまで残ってくれるかしら?レイアウトは考えておくから・・・」
「はい、いいですよ。・・・・出来れば山野辺さんちに泊めてくれるとありがたいんですが・・・。」
ちょっとだけ目を細めてニッコリ微笑むと言ってみた。が、
「ヤダヤだ~、また追い出されたの?もう、何度目よ!」と半ば呆れ顔で言われた。

「に、・・・三度目?」

「淳くんてさあ、高身長、高学歴、顔もまあまあイケメンだけど、性格だけが難点なのよねぇ。どうしてその浮気癖が治らないのかしら!!」
山野辺さんの言い方がキツイのは、別れた原因が元の旦那の浮気だったから。オレと重ねないでほしいんだけど・・・

「浮気じゃないっすよ。カラダだけっす。」
オレが言い切ると、「はぁっ・・・ゲイの発想って分かんない。男ってヤる事しか考えてないんでしょ。」と言ってその場から離れてしまった。

- まあ、言われてみると・・・・・そうなのかも。
だって、付き合って結婚するわけじゃないもん。楽しめればそれでいいし、長く付き合えても、別に気になる男がいたら遊びたいと思うでしょ?!

オレは口には出さなかったが、心の中でだけ呟いた。

男と女の恋愛はよくわからない。
拓海が彼女と仲良くしているのは、いいことだとは思うが、アイツだってオレより高学歴でイケメンだ。他の女の子とだって遊べばいいのに、と思う。それをしない方が、何処かで無理をしているんじゃないかって思うんだ。
オレは自分に正直に生きる。

・・・・・とはいえ、寝る場所を探すのも重要な事の一つだった。






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