『君と まわり道』 08


 流石にこの時間帯ともなると、年齢層の高い客に押され気味になる。

女の子二人に、男のオレが一人っていう傍目から見たら羨ましがられるシチュエーションで、十時近くまで粘っていたが、そろそろ疲れもピークに達してきた。
昨夜はゲイバーでちょっとだけ飲むつもりが、誘われた相手が好みの顔だったから、その子の自宅まで行っちゃって朝帰り。で、今朝はミサキに放り出され、今に至る。

「アツシくん、そろそろ眠そうな目になってきたね?!明日も仕事なら帰った方がいいんじゃない?」
チアキちゃんがオレの落ちそうな瞼に指を指すと言ってくる。隣で梨沙ちゃんはそれをじっと見ているが、何故かチアキちゃんの指す指を掴んで降ろした。

「だ~め!人を指差したらダメなんだよ!」と、お母さんの様な事を言い始めて、その目はちょっと視点が定まらないような感じに見えた。

「あ~~~っ、もう帰ろっか!!ねえ、どっちかオレをタダで泊めてくれない?帰る家が無い可哀そうな男なんだよ~・・・」と、酔いに任せて言ってみたが、「「ダ~メッ!!」」
二人に息を合わせて言われる。

「え~~~~っ、なんでだよー、オレ襲わないし安全な男だよ?!」
「そんなの、ゲイだからって分かんない。男が好きって言いながら女の子もイケちゃう男を何人も知ってるの!!アツシくんも安心出来ないもん。」

チアキちゃんは、自宅だから断られても仕方がないけど、梨沙ちゃんにまでそんな事を言われてガッカリ。
そんなにだらしない男に見えるのか?!オレ、本当に女の子には指一本触れたくないんだけど・・・・・

と、そんな事を思ったら、又’松原あけみ’が顔を出す。
- イヤ、アレは違うから.............


仕方なく店を後にすると、交差点で手を振って別れる。

二人の後ろ姿が微笑ましくて、しばらくじっと見送っていたオレ。

オレも帰ろうかな~
ミサキ、まだ怒っているかな・・・・・?
流石に三度目は許してもらえないかも・・・・・・

ほろ酔い加減で自転車にまたがると、オレはミサキのアパートを目指す。
取り敢えず、ダメもとで謝って中へ入れてもらおう。アイツだってオレがいなくなるのは寂しいはず。

住宅街に入ると、懐かしい我が家。
もとい、居候先のアパートが見えるが、ミサキの部屋に明かりは点いていなかった。

- もう、11時になるってのに・・・どこに行ってるんだ?

なんて、自分の事を棚に上げてミサキを心配するが、「あ・・・」と息を飲んだ。

一瞬、部屋の電気が点いて、台所の窓に人影が写ったが、その影は二つ。

・・・・・誰かが居る?

・・・・誰だ?オイオイ、オレを追い出しておいて、別の男を引き入れてんのか?

そんな事が頭をよぎり、急に自分の中の何かがサーツと引いていくのを感じた。
そうか、...................オレたち、もうとっくに終わってたんだ。

情にほだされて、オレを置いてくれた優しさに付け込んで、オレはミサキには何をしても許して貰えるって思っていた。
アイツがオレを離すはずがない。そう思っていたんだな・・・・・
凄いうぬぼれ.............


肩を落として道路脇の電柱に寄り掛かると、じっとアパートの部屋を見つめた。





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