『君と まわり道』 09


 街灯の灯りだけが、暗闇に光るシャワーのように降り注ぐと、その下で気持ちの持って行き場を失ったオレはたたずむばかり。

- ミサキの新しい男って.........


そんな事を考えては、自分の今までを反省する。
「ヒモ男って.......、そういや部屋代を入れるって言ったら、その内に貰うからって言われたまんま払ってなかったな。」


『なに、独り言言ってるんだよ?!こんな夜中に、気持ち悪いなぁ。大丈夫か?』

「え?・・・」

声のする方に振り向くと、黒いスーツに身を包んだ拓海の姿があった。
さっき会った杉本同様、やはり喪服を着ていたんだ。’松原あけみ’の通夜から戻ってきたのか・・・

「大丈夫か?遂にストーカーに成り下がったのか?そこまでミサキに執着するんなら浮気なんかするなよ!」
そう言ってオレの前を通り過ぎようとする。

「あッ・・・おい、拓海!!」
慌てて肘を掴むと、オレは自分の方を向かせる。
このまま部屋に返してたまるか。オレの寝床をなんとかしてもらわなきゃ。

「拓海。ちょっと話しようぜ、松原あけみの事で・・・・・」

「・・・・・は?何をお前と話すって言うんだ?」
少し顔つきの変わった拓海を見て、オレの中にある濁ったままの感情が溢れそうになる。

「杉本に会ったんだよ、今日。・・・・通夜に行って来たって言ってたよ。松原あけみの、な。」

「...............」

「今朝、オレに伝えなかったのはどうしてだ?オレだって高校の同級生なのに・・・。」

「...........お前には関係ないだろ。俺とあけみは付き合いがあった。ほんの一年だけだったけどな。でも、お前は.........あの日、あけみを犯した。そんな奴を通夜の席に連れて行けるか?.........そんな事も分からないなんて、本当のバカだよ。」

「...........................」
拓海が言った事は本当の事だった。

オレは、コイツと付き合いのあった’松原あけみ’を犯したんだ。

「とっとと家に帰れよ!!ミサキに愛想つかされても、まだ分かんないのか?」
怒りながらオレを睨みつけると拓海は言った。その目はオレを蔑んだような冷たい眼差しで.........

「アツシの考えてる事が分からないよ。ゲイのお前があけみを犯したのは.........俺への当てつけか?」
「え?.....それは...................」

「別に、お前が’まとも’で、あけみと付き合うって言うんなら、俺は構わないよ。二人で幸せになったらいいんだ。けど、アツシは’まとも’じゃないんだよ!」

「はあ?’まとも’じゃないって、どういう事だよ?!オレがゲイだからか?」
「ああ、そうだ。ゲイのくせに女泣かせてるんじゃないよ!!しかも、一回ヤったらポイだ。あけみがどれだけ傷ついたか知らないだろう?」

「...................それは、.................でも、アイツが誘って来たんだ。オレが無理やりしたわけじゃない。最後は........嫌がったかもしれないけど.......、松原が、...................。」

その先は言えなかった。

拓海は知らない。あの日、松原がオレだけに言った言葉を..............。



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