『君と まわり道』 18


 コン、コン.......

拓海の部屋のドアをノックすると、中から微かに聞こえる「開いてるよ~」の声。
それを聞いて、オレはドアを開けると中を覗いた。
ひょっとして、彼女が来てやしないかと思ったんだけど.........

「どうした?入れよ..........。何買って来たんだ?」
オレの持つビニール袋に興味を示すって事は、食欲も出てきたんだろうか。慌てて靴を脱ぐと、袋を下げたまま拓海の寝るベッドの横へと行った。

「適当に、あんまり胃に負担をかけない物を.........」
そう言って袋を開いて中を見せる。

「あ、俺この玉子がゆ好き。」
拓海は粥のレトルトパックを摘んでオレに見せた。

「あ、オレも好きなんだよな。」

取り敢えずは粥のオンパレードだ。急に肉とかは、やめておく方がいいと思って、ヘルシーな食品を思いつくだけ買ってきた。

「淳がこんなの選ぶなんて、ちょっと滑稽だな。」笑いながら言うが、オレだって変な感じだったよ。
家に居る時なら、オフクロが作ってくれたから.........。
でも、わざわざ米を焚いてお粥を作るってのも変だし.....

「お前んちに残ったご飯とかあれば、オレが作ってやるんだけどな。残念ながらコンビニのだ。」

「今度彼女が来たら作ってもらうよ。淳のよりは美味いと思うし。」
「そうだな、.........あ、これから来てもらえよ。オレ遠慮すっからサ。」

袋をテーブルに乗せ乍ら拓海に言ったが、「ば~か。呼ばないよ。」と言われる。

「どうして.....?倒れたの知られると恥ずかしいのか?」
オレが聞くと、拓海はふふっと笑いながらベッドから出てきた。
Tシャツとパンツ一枚の姿でオレの横に来ると
「ここを出て、行くアテあるのか?また先輩の家に泊めてもらうつもり?」
ちょっと呆れ顔でこちらを見て言う。


「...........まあ、な。一応、追い出されたら来てもいいって言われてるんで。その人の子供に気に入られてるんだ。可愛いぜ~」

「あ、っそ?!
お前が子供好きだったなんて意外。それとも熟女好きに転身か?」

拓海の言い方がちょっとイヤミっぽいが、オレは無視してレトルトのお粥を深い皿に移すとラップをかけた。
レンジに入れて温めに設定。しばし会話も途切れる。

拓海は冷蔵庫を漁ると、中から梅干のビンを取り出してテーブルに出した。

「うわっ、お前爺さんっぽい!梅干し常備してたっけ?」

「ああ、最近は身体に気を付けているからな。彼女にも言われるし.........。」

「.........ま~たカノジョ、か。.........やっぱりオレお邪魔だよな。看病は女にしてほしいもんな、お前は。」

「は、別にそんなのしてもらわなくていいけど。まあ、淳がしたいって言うんなら俺の看病させてやってもいいよ。」

「.........へぇへぇ.........看病させて頂きます。」

「あはは、.........」

そんな会話をするうちにお粥も出来上がり、テーブルに乗せると拓海にスプーンを渡した。

「サンキュ。お前も食えよ?!一緒に病人の気持ち共有しようぜ。」
拓海が言って、オレのシャツを引っ張ると、椅子に座らせてスプーンですくったお粥を差し出した。

オレは、それを口に含むと頷いて「あんまり癒されねぇな。やっぱり、オレは肉が食いたいよ。」といった。

オレの言葉に苦笑いの拓海は、大きな口を開けて粥を頬張る。
「確かに.......癒されないな.........。」とつぶやくとオレの顔を見た。





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