『君と まわり道』 19


 取り敢えず今夜の寝床は拓海の部屋に決定。

シャワーも済ませると、ベッドに転がった。が、「どこに寝てんだよ。お前の布団は隣の部屋にそのままあるだろ。」と拓海。
そうだった、前に転がり込んだ時に布団を買っていたんだ。そのまま押し入れで保管状態か・・・・・

「アレ、たまには干してくれた?カビ臭いの嫌なんだけど.....」
寝転んだまま拓海に聞く。

「ば~か!!なんで俺が干すんだよ、オカンか!」

「だったら、オレ、ベッドで寝る。大丈夫だって、男二人でもセミダブルなら寝れる。実践済だから。」
オレが言うと
「...............実践.......、」
拓海の顔が少しだけ緊張する。

「......あ、....いや、えっと.......。お前には触らない、約束する。ゲイだって相手を選ぶんだ。」
慌てて言ったが、ちょっとだけ後ろめたい気持ちになった。
松原と関係を持った時、オレは意識の中でコイツを抱いた。潜在意識の中で、そういう願望があったのかは分からないけど、拓海と目が合った時そんな気分になったんだ。

「選ばれなくて良かったよ。.........じゃあ、安心して寝る。」

「ああ、おやすみ。」

カラダ一つ分隙間が空くように、互いに背中を向けて横たわった。微妙に感じる体温が余計に神経を尖らせる。
今は拓海の寝息さえ悩ましい。

- 親友には手出ししない・・・って言ったのオレ?!

- だよな・・・・・


ズンッ.........
地震でもないのに壁が揺れた気がした。

「お、......おい.......なんか.........」
横に居る拓海に手をのばせば
「.....ミサキとカレ、だろ。」

「...............は?」

「.......お前とミサキの時もこんなだった。.....いや、もう少し静かだったかな。」

「....................、ぇぇえ?」

そのうち天井にミシッという音が。
----------こんな時にミサキは何をしてるんだ!
オレが拓海の所に居るってわかっているだろう?!

「なんか........ゴメン。」

「何が?」

オレはミサキの代わりに謝ったが、拓海には分からないみたいで。
それに、オレとミサキがヤってる時もこんなに振動を与えていたとは思わなかった。

「前にここに住んでいる時、全然気づかなかったのに・・・。」

「それは、上に住んでいたのが年配のおばちゃんだったからだよ。あの時は静かだった。」
カラダの向きを変えてオレの方を見ると、拓海が笑いながら言う。
暗闇の中でも、なんとなく目が慣れて拓海の顔が分かると、恥ずかしさが増した。

その間も天井のミシミシという音は続いている。
ミサキもまさかオレと拓海に聞かれているとは思ってないだろうな・・・。
声が聞こえなかったのが救い。
アイツの声聞いたら思い出しちゃうよ。ここで興奮してもバカみたいだしな。

オレは一人で天井に目をやりながら呆気に取られていた。

「どう?妬ける?...........ミサキとあのカレ、つい最近って感じじゃないな。お前が浮気ばっかりするからミサキはとうに乗り換えてたんだろ。可哀そうなアツシ。」
オレの顔を横目で見ながら言うと、拓海はオレの頬をつねった。

「イテツ、何すんだよ!!」
急につねられてオレはムキになる。手の甲で、拓海の指を押しやると横向きになり身体を起こした。
肘で身体を支えると、もう片方の手を拓海の首に置く。
首を絞める真似をして、脅かしてやろうと思ったが、拓海がじっとオレを見る。

その目は、睨むわけでも無くて、まるであの日の様に熱い眼差しをオレに向けていた。

オレが松原に乗っかった時、酔ってはいたが拓海の目は覚えている。人の情事を見て興奮したのか.......元カノがゲイに抱かれていたのに、それを怒る訳でもなくじっとオレを見ていた気がする。

「.............たく、み.................」

その眼差しに吸い寄せられるように、オレは拓海の名前を呼ぶと顔を近付けた。
首に置いた手は、するりと後頭部に回り込むとストレートのしなやかな髪を撫でる。それから、頭の形を確かめるように指を這わせていくと、拓海の口元が少し開いた気がした。

ふざけていると思ってそのままにしているんだろうか、拓海はオレを避ける訳でもなくじっと身を任せている。
眼差しはオレに向けたまま、時折口元に目を落とす。その時の伏し目がちな表情に、バカなオレは本気でキスをしたくなった。




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