『君と まわり道』 20


 暗闇の中、オレと拓海の見つめ合う時間は長く感じられた。
でも、本当は一瞬だったと思う。拓海はじっと動かないままオレを見つめている。

唇に触れそうな程近づいたオレに、「ここから先は、トモダチ失くすかもしれないよ。.........いいの?」
と、顎を引くとオレの目を見ながら言った。

オレも拓海の目を見たが、「ここまで来たら、どっちにしたって友達には戻れないだろ。だったら、キスしとく。」と言って拓海の唇にチュッと音をたてた。

すぐに、拓海の瞳が大きく見開いたのを確認したが、オレは気にせず二度目のくちづけをした。

やがて瞳は閉じられて、オレは薄目を開けて見ていた。拓海が抵抗しないという事は、受け入れるという事なんだと思った。嫌なら振りほどけるはずだ。

オレは、尚も拓海の唇を吸うように舐めとると隙間に舌を差し込む。が、歯が閉じたままなので開けさせようとして顎に手をかける。
その時、
「あけみと、.......」
拓海の口から松原の名前が出て、オレの身体が止まった。

「あけみとも、こんなキスしたのか?」
「...........ぇ?..........なんだよ、急に......」

オレは焦る。突然昔の事を聞かれて、しかもそんな事覚えてないし.........。

「酔っぱらってたんだ、覚えてるわけない。それに、酔ってなきゃ女と抱き合ったり出来ない。」

「俺が見ている時には、キスは無かった。アツシがバックからヤってただけ。」

「いい加減にしろ!なんだよ、そんな話.......。」
オレは拓海の身体を遠ざけた。
背中を向けると布団を引き寄せてくるまる。

「どうしてあんな事になったのか分からないままなんだよ。ハッキリしないまま、でもあの後あけみは俺に言ったんだ。」
拓海がオレの背中越しに辛そうな声で話す。

「言った?.....何を..........?」
オレが聞くと、「本当は、アツシが好きだった............。」と言い、「アツシに振り向いてほしくて、俺に近付いたって。なのに周りがうるさくなって俺と付き合う事になったらしい。」

「え?」
オレは声を洩らすと、心臓が凍り付きそうな程驚いた。
「ちょっと待てよ!.....どういう事?オレはそんな話聞いた事ないし、松原とお前はお似合いだったし............。オレは松原に興味も何もなかった。」
布団から身体を出すと、上体を起こして拓海の方を向く。

「あけみはアツシがゲイだってことを知らない。だから、あの日偶然会って酔いつぶれてここに来た。アツシに何を言ったか知らないけど、あの事で二人の仲が特別になるって思ったんだろう。」

「ま、さか......。自分と別れた事を後悔させてやろうと思って、オレをダシに使ったんじゃないのか?!」

「アツシが?..........ダシに使われたのは俺だよ。高校時代からずっと、俺と居ればアツシの近くに居られるって思っていたんだからな。けど、お前が遠ざかって行ってアテが外れた。だから別れたんだ。」

拓海の言葉を聞きながら、あの晩自分に言われた言葉を思い出す。




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