『君と まわり道』 29


 ほんの2,3秒だったが、オレの傾けた身体が固まる。拓海への言葉も思いつかなくて、ただ向けられた視線を受け止める事しか出来ないでいた。
拓海は本気で---?
でも、性急に事を進めるのは良くないと、理性の片隅で歯止めをかけた。

「.....続きは、また今度。お前の体調が良くなってから...............、シャワーしてくるな。」
かろうじて掛けた言葉に、自分で可笑しくなる。
今まで、オレが相手の体調とか考えてシた事があったか?!
自分の欲求に従って、もう、へとへとになる迄セックスしてたってのに...........。

浴室のドアを閉めると、シャワーのしぶきを顔面に受けて目を閉じるが、先ほどの拓海の真剣な眼差しを思い出すと、両手で顔を擦った。


オレがバスタオルで身体を拭いていると、洗面所のドアを開けて拓海が入ってくる。その手にはシーツが丸められていたが、それを洗濯機に放り込むと、入れ違いに浴室へ入った。
勢いよくシャワーの湯が出され、その音を聞いたオレは部屋に戻るとベッドの上に置かれていた新しいシーツを広げる。

黙々と、ベッドマットにシーツを広げて敷くと、バッグからTシャツとパンツを出して身に着けた。

キッチンに行き、冷蔵庫から取り出したペットボトルの水をコップに注ぐと、ふぅ、っと息を漏らす。それからベッドに横たわり、頭の下に腕を置くと天井を仰ぎ見た。
 
こういう経験が無くて、本当に戸惑っている。
自分の初めては、こなれたゲイバーの店員。ネットで漁りまくった情報をフルに使ったが、アッサリ挿入まで出来てしまった。
相手も、オレがガチだって分ってて、それなりに準備をしてきていたから.........。でなきゃ、そう簡単にはいかない。

拓海は、オレの好きなようにしていいって言った。それは、アイツも覚悟をしたって事で。なら、オレが上でもいいって事だよな?!


----カチャリ、

ドアが開いて拓海が部屋に入ると、ベッドの上のオレと視線が合った。

「.............拓海、.......」と、声を掛けると「なんだ?」と聞く。
下着を穿いている姿を見ながら、オレは「本当にいいのか?...............お前、男同士がどうやってスルのか知ってるんだよな?!」と聞いた。もちろん知らなきゃあんな事は出来ない。お互いに後味の悪い思いはしたくなかったし、ここで止めてもちょっとハメを外しただけって事に出来るんだ。

「.........SNSの時代だよ?!情報は目に入ってくるし、調べた。それに...........、ミサキがネコだってのも知ってる。だから、一応は..............俺の腹の中はカラにしておいた。」

「.............!!」
そんな言葉が、拓海の口から出るなんて驚き以外の何物でもない。オレは目をまん丸く見開いた。

「でも、今夜は寝るよ。さっきので一応分かったし、アツシが逃げなきゃ続きがあるって事だろう?」
屈託のない笑顔を向けて言う拓海に、益々困惑気味のオレ。
取り合えず、ベッドのうえで自分の身体を少し横にずらせば、拓海が入りやすいようにスペースを開ける。






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