境界線の果てには。(032)

真咲は、一度自分のマンションに戻った後、着替えだけを済ませると、大学へ向かった。

軽く昼食を取ろうと思い学食へ行くと、以前付き合いのあった女の子がいて、真咲の顔を見るなり近づいて来る。

-やべ、……

心の中で呟くと、セルフサービスのうどんに手を伸ばし、トレイに乗せた。

「ひとり?……あのこは?」
「…あのこ。…?誰?」
「よく一緒にいる、くせ毛の…キレイな男の子。青木くんよ。」


-ああ、広斗の事か

「アイツは今日の授業ないんだ。…なんか用でもあるの?」

女の子は、林 真希(はやし まき)と言って同じ3回生。
1年の入学当時声をかけられて、3か月くらい付き合ったが、続かなかった。

「あたしの友達が、紹介してほしいっていうんだけど。よかったら真咲とあたしも入れて4人でゴハンしない?」

-ああ、ダブルデートっぽいやつか

「悪いな、俺ら忙しいから。それに、オレと真希ちゃんとはもう終わってるじゃん?!」
トレイを持ってテーブルに着くまで、ずっと傍に居られて、ちょっとうんざりした真咲が言った。

「真咲ってもっと優しい男だと思ってたのに。あたし以外の娘とも付き合ってたんでしょ?勝手に終わらせたの真咲の方だし。」

確かに、この娘以外に3人ぐらいと遊んだ。
けど、広斗が倒れたのを運んでからは、誰とも遊んでいない。

「悪いけど、これ食ったら教授のトコ行くから、それに青木は就活に忙しい。付き合ってる暇ないよ。」

「そんなの真咲が決めないでよ!聞いてくれたっていいでしょ?」

-ウザいな・・・・

「わかった、一応聞いとくよ。じゃあね。」

真咲は追い払う様に手をかざすと言った。

何か言いたそうにしていたが、遠くの方で友達が待っているらしく歩いて行った。

-ふう、、この間の香菜ちゃんといい、女の子って”元カレ”と平気で昔みたいにしゃべれるんだよな。
よく分かんないけど、強いよ。自分が納得するまでは、引かないもんな。

大きな口で一気にうどんを吸い上げると、ぴたっ、と動きが止まる。

-そういや、オレも広斗が別れるって言ってたのに、引かなかったっけ。

・・・ストーカーの真似して、勝手に襲って、肉まで焼いて・・・すごいな、オレ。

ズルズルと音をたてて、目の前のうどんをすすり乍ら、今さらながらに反省した。







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