『君と まわり道』 37


 ベッドをソファー代わりにして並ぶと、クッションを背中に当てて雑誌を読むオレとレンタルビデオを観る拓海。
拓海が観ているのは、昨年話題になった映画。なぜかホラーだ。
「そういうの好きだな、.........。学生の時もオレの家に来ると観ていた記憶があるけど、そのくせちっとも怖がらないんだ。」
雑誌に目をやりながらも隣の拓海に言うが、返事が無い。
 ふと身体を捻って覗き込むと、瞼は閉じられていた。
「.........寝てんのかよ。」と呟いて、オレは雑誌を置くと立ち上がり、拓海の身体を横にして寝かせてやった。

 松原の通夜以来、ずっと忙しくて体調もおかしくなって、自分が良くなったと思ったら今度はオレ、だもんな。拓海も疲れが溜まっているはずだ。

そっとビデオのスイッチを切ると、ブランケットを身体に掛けてやる。
その時、少しだけ寝返りを打つ拓海の乱れた髪の毛と、そのまま眠る顔を見たら、オレの心臓の鼓動はドキリと跳ねた。
なんだか無性に、その頬にくちづけをしたい衝動にかられる。

オレが床に膝をつき、じっと拓海の寝顔を見ているが、時折口元がすやすやと寝息を立てて隙間から白い歯が見えると妙に艶めかしくて.......。
こんな事が艶めかしいとか、そんな風に感じる自分に照れてしまう。

オレは隣の部屋へ行くと、取り込んで畳んで置いた布団に身体を預けた。
いい感じに沈み込んで気持ちがいい。
初夏の薫りが鼻の奥に充満すると、いつしかオレもそこで意識をなくした。気分が良くてフワフワと漂っているような感覚。



----「アツシ?!」
拓海のオレを呼ぶ声で目が開くと、今度はしゃがみ込んでオレを覗きこむ拓海の姿があった。

「あ、オレ寝ちゃってた?」
「うん、気付いたら俺も寝てたんだけど、アツシがいないし。そしたらここに居た。」
「........、はは、拓海の昼寝の邪魔をしないようにと思ったのに、オレも居眠りしちゃってたんだな。」
笑いながら言うと、「風邪ひいてんのに、ダメだろ。ちゃんと布団に入って寝ろよ。」という。

誰かと、こんなにまったりした休みを送るなんて久しぶりだった。自然に笑みが零れると、「拓海が一緒に寝てくれるんなら、いいけど。」といったが、拓海も笑いながら「いいよ。」という。

オレは布団をしっかり敷き詰めると、掛け布団をめくった。
それから着ていたシャツを脱ぐとTシャツ一枚になる。もちろん穿いていたジーンズも脱げばそのままシーツの上に転がった。

「拓海も脱げよ。」
オレが言うと少しだけ動作が止まるが、そのうち同じように下着一枚の姿になるとオレの隣に入り込む。
すぐに身体に手を回し抱き寄せる。拓海の匂いがして、首元に鼻を付けて擦ってやれば「くすぐったい。」と避けられた。





ご覧いただき有難うございました。
ランキング参加中です↓
にほんブログ村 BL・GL・TLブログ BL小説へ
にほんブログ村

人気ブログランキング

「ロクイチ」 ただいま手直し中につき、もう少しお待ちくださいm(__)m

スポンサーサイト

コメント

非公開コメント