『君と まわり道』 40


 華やかな色とりどりのディスプレイに囲まれて人混みを抜けると、社員専用の重い扉を開く。
きらびやかな表舞台から降りた気分になると、オレはロッカールームを目指した。

中の私物を大きめのデイパックに詰め込むと、これから山にでも行くのかってぐらいの荷物になった。
それを背負うと通用口へ向かうが、そこにいる警備員がジロリとオレを見る。まるで何かを持ち出しているかのような目。不審者っぽいのは仕方がない。でも、「お疲れ様でした!」と
挨拶をすれば「ああ、お疲れ様~」と返してくれる。


 入口の所で携帯に目をやる。
着信を見ると、拓海から。オレはすぐさま掛け直すと、背中からデイパックを降ろした。

暫く入口近くの歩道で待っていると、プッ、プー.....とクラクションを鳴らされてそちらに顔を向けた。

「アツシ!!こっち・・・」
「ありがと!」

声の主は拓海で、オレの荷物を運んでくれるといい、友人に車を借りてくれた。

後の座席にデイパックを投げ入れて、オレは前の助手席に腰を降ろす。
「警備員にメッチャ見られたよ。」というと、「そりゃあ、その荷物だもんな。店のモノ持ち出してるんじゃないかって疑われるって。」と拓海に言われるが、基本、ロッカーから店への出入りの時は荷物を警備の人に見せてから入るし出る事になっていた。

「この前は、頭ボサボサで来たら’身だしなみに注意してね’っだってさ。分かってるっつーの。」
オレがぼやきながらしゃべる。それをははは、と笑って聞く拓海。

「せっかく車借りたしさ、ちょっと遠出しようか?」
「え?・・・・今日?これから?」

何度も聞き直すが、「うん。」と頷かれちょっとだけ嬉しくなった。

「何処行く?」
「まずは飯食って・・・・それから、後は俺にまかせろ。」
そういう拓海の顔がいつになく真剣で、車内の空気が一瞬だけどピリッとした。

「うん、わかった。拓海にお任せ、だな。」
「ああ、」


 車を走らせて入ったのは、ファミリーレストラン。
「ここ、昔来た事あるよな。高校の時・・・」
懐かしくて、オレが辺りを見回すと「ちょっとだけ綺麗になったな。改装したんかな・・・?」と拓海も店の外観を眺める。

車を駐車して中へ入ると、意外と空席があってオレと拓海はそこへ座る。
懐かしのメニューを頼んでから、昔は無かったサラダバーに行った。好きなサラダを山盛りにすると、早速テーブルに着くなり口に運ぶ。

「そういや、高校の時は帰りにここ寄って、それから家に帰っても飯食ってたな。」
オレが笑いながら言うと、拓海もうんうん、と頷く。
あの頃は、身体がおかしいんじゃないかってぐらい食欲があって、口を開けば’腹減った~’だもんな。
そんな昔を懐かしむなんて、オレも年取ったなと思うが、注文したものが運ばれてくると、二人して上機嫌になる。





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