『君と まわり道』 45

静かな住宅街で、オレと荷物を車から降ろした拓海は、友人に車を返しに行った。

オレは独り、部屋で荷物を片付けながら、以前ここに転がり込んだ時の事を思い出す。変わり映えのない部屋で、拓海の好きなダークな落ち着いた色合いのインテリア。だから心が落ち着くんだろうか。

この部屋で一緒に暮らしたのは、松原あけみと再会する迄の半年程。
あの頃は楽しいだけで、親友としてアイツをみていた。ゲイバーに行って、その日気に入った相手と関係を持つ。ごく当たり前の様に、外泊もしていた。勿論、拓海にも程々にしておけと言われた事はある。でも、それに従う事は無かった。



まさか、こんな事になるとは……

押し入れに、服や鞄をしまい込む。
パソコンやCDを棚に置くと、ほんの少しだけ自分の部屋らしくなった。
忘れていた感覚。

今夜、拓海に連れて行かれなければ両親と会う事も無いだろうし、この感覚も味わう事は無かっただろう。拓海らしいな…

オレの性格もちゃんと分かっているって事だ。



- - -
風呂に入ろうか、どうしようかと迷っていたら拓海が戻ってきた。

「ただいま..」
「..おかえり、ありがとうな。」
「え?...あぁ、いや、別にいい。」

「風呂、入る?お湯入れようかと思ったんだけど...」
拓海に聞いたが、「シャワーでいいよ。」と。

棚の上に目を向けると、パソコンに近寄って
「テーブル、買うか!?」と聞いて来た。

「うーん、いいや…。そこまで使う訳じゃないし。」

「そうか…、ならこのままでいいな。」

それだけ言って着替えを出すと、「先にシャワーしてくる。」と、風呂場へ行った。
どことなく感じる緊張感。

今夜、オレ達の関係性も確かなものとなる。それは肉体的な意味も含まれて、未だに踏み出せないオレは更に緊張する。



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