境界線の果てには。(034)

カーテンから洩れる太陽の光が、広斗の顔に一本の線を映していた。
産毛はきらきらと輝きを放ち、頬にかかるくせ毛も柔らかな光を蓄えている。

「おい、起きろ。・・・おい」
耳元で声がして、振り向けば真咲の顔。

「あ?・・・なんでいるんだ?」
目を擦り、不思議そうな顔で見ると、スパーン、、
と頭をはたかれた。

「イッテぇ・・・・・・なに?なんで?」
非常に痛い頭を押さえて、広斗が目をぱちくりとするが、真咲はムスッとした顔で床を拭いていた。

「あっっ、」
やっと思い出したのか、慌ててベッドからはい出ると、床を拭く真咲の手をとる。

「ごめん。思い出した・・・・ほんっと、ゴメン!」
「今頃死んでたかも。オレ、第一発見者なんてイヤだからな。」

・・・そう、ヘタしたら今頃喉を詰まらせて死んでたかも。

と、言うのは、昨夜別の友人から誘われて、飲みに行った。
そこで、意気投合した奴らと深酒してなんとか家までたどりついたんだけど、苦しくなって・・・
吐きたいのに吐けなくて、多分無意識に電話したんだ・・・・真咲に。

「お前さ、朝の5時に死にそうとか言って電話してくんなよ。電車まだ動いてないし、金無いのにタクシー使っちまったじゃねえか。それに、来てみればゲロって床に転がってるし。吐いたもん喉詰まらせてるし。・・・・朝からこんなお掃除イヤなんだけど。」


広斗が真咲の持つ雑巾を取り上げると、土下座のポーズで床にひれ伏した。
「ごめん。本当にゴメン。」

少々呆れ顔で、テーブルに腰をつければ広斗を見下ろす。
「この間倒れたばっかで、よく酒なんて飲めるな?気がしれないよ。」
「もう、怒んなって。悪かった。もう飲まないから、、な?!」

上目ずかいに言われると、つい真咲の頬も緩む。

-こいつ、わざとやってんのか。



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