『君と まわり道』 49


 短めに昼食を済ますと、売り場に戻り山野辺さんと交代。
「淳くんのセンスで適当に変えておいていいわよ。ただし、他の店と被らないように!」
「............はい、了解ッス。」

山野辺さんの背中を見送ると、すぐにストックルームへと行き在庫品の入った段ボールを開けた。
中には白、黒、モスグリーンの三色で展開されたトロピカルシャツが数点。
アメ車をモチーフにしたもので男女問わずに着られる。それに合わせてコットンとレザーを組み合わせたスニーカー。白地にリトグラフのアートをプリントしたものはオレ的にはすっごく新鮮な組み合わせだ。
ボーダーは使わない。
敢えてマリンカラーは外してしまった。どこへ行っても見かけるし、うちの店じゃなくても安くて似たような服がゴロゴロある。

 アロハシャツはインパクトの強い二色展開の物だけを飾る。
ワイキキビーチとはちょっと異質な、都会のオアシス的な感じにしようとモノクロの柄を選んだ。そこに黒のスムースレザーのスリップオンシューズ。
通路から目立つようにディスプレイを施せば、自分で言うのもなんだけど、売れる予感しかしない。

ひとりニヤケながら、棚の上の小物を整頓し直していると、「アツシ」と声が掛かる。

呼ばれた方向に顔を向けると、そこに居たのはスーツ姿の拓海。

「え?どうした?・・・・・仕事中だろ?!」と尋ねるオレに、「これから京都へ出張。急に決まってさ、今夜は泊りになるから。」とネクタイを少しだけ緩めると言った。

「あ、.............そうなんだ、大変だな。」
「電車の時間まで少しあったから、お前の顔だけ見て伝えようと思った。電話、通じるか分かんなかったし。」
拓海がオレを見るが、オレもどういう訳かその眼差しに吸い寄せられるような気がして、一瞬だったと思うけどぼんやりしてしまった。不意打ち。という言葉通り、素のオレはどういう態度で接したらいいのか分からなくなる。

ちょっと前なら、軽く’行ってこ~い’って一言で片付けていただろうに。
今のオレは、今夜、拓海が居ないのだと思ったら、ちょっと淋しいという感情が芽生えている事に気付く。
そんな自分に軽くショックを受けるが、「明日の晩には戻るからさ、晩飯食って帰ろうか。お前何時に帰れる?」と、普通の顔で聞いてくる拓海。全くいつも通りの感じで、ストレートの前髪をかき上げたりして、悔しいけどカッコイイんだよな。

「...........えっと、明日も早番だから6時あがりかな。」
なんだか落ち着かなくて、腰に当てた手がソワソワする。

「じゃあ、6時半にビルの入口な。一応メール入れとくけど、・・・ちゃんと見ろよ?!」
「ああ、分かったよ。見るから・・・、行ってら。」
「じゃあな、」
「ああ、・・・バイ。」


店の入り口で立ち話の後、拓海は颯爽と通路を抜けるとエスカレーターに乗って降りて行った。

そんなアイツの頭のてっぺんを見収めると、オレは気を取り直して小物の位置をずらして行く。でも、頭の中には、拓海の仕草と言葉の終わりにオレを上目ずかいに見る癖とが焼き付いて離れなかった。

- あ~~~~ッ、やべぇ、オレ重症かもしんねぇ-------------

声には出さないが、心の中では軽く叫んでいたオレだった。






ご覧いただき有難うございました。
にほんブログ村 BL・GL・TLブログ BL小説へ
にほんブログ村

人気ブログランキング


こちらは別サイトでのお話。
宜しければご覧ください。またまた同級生のお話ですが。
↓ ↓

疼きの原因が親友な訳

スポンサーサイト

コメント

非公開コメント