『君と まわり道』 55


 今夜の拓海は、ノンケのくせにあっさりとオレの唇を受け入れ、舌を絡めても無抵抗でされるがままになっていた。
あんなビール一杯で酔ってしまったのか.........
それでも、電気の点いていない暗い玄関先で交わす口づけは、十分すぎる程身震いして酔いそうだった。

.........はぁ、..................ん..............ん................

オレの舌が唇から顎へと伝うと、拓海は首を仰け反らせて喉仏を突き出した。それをオレの唇がゆっくり食むと「ぁ、............」と軽い吐息を漏らす。
頭の中で、次は何処を攻めてやろうかと考える。が、相手が拓海だという事を再認識したオレは、もう一度唇にリップ音をたてて吸い付くと身体を離した。

「玄関先じゃ落ち着かないよな。」
そう言うと、玄関の電気をつけてから、拓海の鞄を手に取って部屋にあがった。

オレの後ろで拓海が靴を脱いでいる。言葉は発しないまま足音とジャケットを脱ぐ衣擦れの音だけが部屋に響いている。

「シャワー、浴びる?そんなに酔ってないだろ?」と聞くが、オレに背を向けてシャツを脱いだ拓海は、「一緒に入る?」と言った。
「..............、いいけど、狭すぎるだろ。カラダ洗うだけでぶつかる。お前先に入れよ、オレは後からでいいからさ。」
普通に言ったつもりだが、まさか拓海の口から「一緒に入る?」なんて言葉が出るとは思わなかった。

「じゃ、先に入ってくる。」
「ああ、.....。」

ふぅ................
思わず息を吐くと、キッチンの椅子に腰を降ろした。なんていうか、こういうのに慣れていないオレは、次に進むことを考えると戸惑ってしまう。今日は金曜日じゃないので、最後までは考えなくてもいい。でも、オレがする事を拓海は受け入れられるんだろうか.............。そこが不安でたまらない。



* * 
拓海がシャワーをして出てくると、オレが交代して入って行った。
石鹸でまんべんなく身体を洗い、ついでに後の方も念入りに洗う。ソコは、ほとんど使った事が無くて、あんまりいい思い出は無かった。今更、初心者に出くわすなんて、オレには自信がない。

バスタオルを腰に巻き部屋に戻ると、拓海がベッドの上で横になっている。
又、寝てしまったのかと思った。出張から戻ってきたんだもんな。このままそっと寝かせておこう。
そう思って掛け布団をかけた瞬間、拓海の腕がオレに伸びてきた。

「アツシ.........、」
名前を呼んだ切り次の言葉が出て来ない。
「.........なんだよ。途中で終わんなよ。」
と、オレは拓海の腕を掴み直すと言う。そうしてベッドに腰掛けると、その頬にキスをした。




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