『君と まわり道』 56


 頬から首筋へ落とす唇が、しっとり湿った拓海の襟足に掛かると、そのままうなじを見せてうつ伏せになった。
裸の背中にうっすらと盛り上がる筋肉。もう何年も日には焼いていないんだろう、白い肌が目の前に広がると、オレは手の平を乗せてみた。

手の平で滑らかな肌を確かめるように撫でると、そこにもキスを落とす。
チュッ、というリップ音が規則正しく刻まれて、それに合わせて拓海の背中の筋肉も波打つ。

拓海の横に身体を滑りこませると、背中を覆い抱きしめた。背中に密着したオレの腹がじんわりと汗ばむ。
後ろから首筋に甘噛みをすると、拓海がうっ、と言ってのけ反た。その姿に、オレは興奮して後ろから羽交い絞めの様な格好で拓海を抱きしめる。

いつもなら、身体をこちらに向けさせて胸のあたりにじゅっと吸い付くところ。
胸の尖りを舌先でつつきながら、片手は雄に伸ばす。そうしてその奥の秘孔をゆっくり愛撫すれば............


でも、今夜は違った。グッと抱きしめたまま、拓海の背中に顔を埋めたまま動けない。

それを変だと思ったんだろうか、拓海が背後のオレに向けて聞いてくる。
「.....アツシ、怖いのか?」

「え?............」

「俺と身体の関係になるのは怖い?」

「.............それは、.............」

図星だった。口に出さなくても感じている不安な気持ち。
同じ性癖で、とことん快楽を得るためにするセックスとは違う。拓海に’気持ち悪い’と思われるんじゃないかって、何処かで自分をセーブしている。それが伝わるんだろう......。

「金曜日になったら、俺を抱かせてやる。その時はアツシがしたいようにすればいい。俺はもう覚悟は出来ているんだから、後はお前だけだ。」

拓海の声は、背中に付けたオレの額に振動するように響いた。




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