『君と まわり道』 57


 「分かった.........、元はと言えばオレがお前に変な気を起こしたんだ。始めたからには後戻りはしない。」
そう言って、オレは拓海の背中から離れると肩を掴んで向き直らせた。
仰向けになった拓海の身体を跨ぐようにオレが馬乗りになると、一瞬表情が強張る。男前な言葉を発しても、やっぱり拓海だって恐いんだ。どこで聞きかじったか知らないけれど、男と男が交わるという事はそんなに簡単なものじゃない。

「もし、途中で嫌だと言っても、オレは止まらないかもしれない。女を抱いた事が無いから、優しくなんて出来ないかも。それでもいいんだよな?!」
拓海の腹の上に跨るオレは、上からじっと顔を見ると言った。

「ああ、覚悟は出来ているって言ったろ?優しくなんてしてくれなくていいし、ひょっとするとお前の方がヤメてくれって言うかもな。」

「.........ば~か、言うかよ!」
鼻で笑ったオレは、そのまま身体を前に倒すと拓海の顔に近付いて鼻の頭を舐めた。
ペロンとひと舐めすると、足を戻して身体を横たえる。拓海と並んで寝転ぶと、「今夜はもう寝る。楽しみは取っておかなきゃな。」と言って布団を掛けた。

「...........、ヤリチンらしくないな。ま、いいけど。」
拓海がオレを見ると言ったが、聞かないふりをしてそのまま目を閉じる。

胸のつかえは完全に取れたわけじゃないが、拓海の言う通りオレらしくないのかも。
頭の中でグルグル考えてばかりだ。ちっとも前に進めやしない。
でも、拓海を手放したくはないから、どうしても慎重になってしまうんだ。それは仕方のない事だと思う。

オレが一人で考えているのに、隣ではすうすうと寝息を立てる拓海が居て、全くコイツは腹が座ってるな、と感心する。
.............ホント、男前だよ。



* * * 
朝、気付けば携帯のアラームがセットしてあって、それが鳴ると同時に止めたオレはベッドの上でぼうっと頭を掻いた。

又、知らない間に拓海は出勤したようだった。
隣のシーツのシワを眺めると、立ち上がって洗面所へと行く。









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