『君と まわり道』 64



------酔っているのか? -----------------

「ヤ、......メッ........、たく、.....み!!」
拓海の髪の毛を掴むと引き剥したが、またすぐ股間に顔を近付ける。
いったいどうしたって言うんだよ。ノンケのくせにオレにフェラをしようっていうのか?

「オイ!どうしたんだ、お前はそんな事しなくていいから!」
本気で怒るオレに、拓海は身体を離すとズイッと這いあがってオレの顔面を睨みつけた。その目はさっきまでのヘラヘラしていた眼差しじゃなくて、もっと鋭い怒りを含んだような目で.....。

「なんだよッ、せっかく俺が気持ちよくしてやろうと思ったのに...............。ま、した事ないしヘタだろうけどな。」
そう言うと、オレの隣にドカッと身体を投げ出して横たわる。

「ヤな事でもあったのか?支店のトラブルって言ってたけど........................。急に変わった事すんなよ。」
半身を起こすと自分の下着を探してシーツをまさぐる。尻の所で丸まっていたのを取り足を入れるが、恥ずかしながらオレのモノは若干の反応をみせていた。それでも、気を取り直して拓海の身体を抱き寄せれば、腕枕をしてやる。
シャワーを浴びたばかりなのか、シャンプーのいい香りがして気分が和んだ。

「契約書を取り交わす段取りをしたと思っていたのに、言葉の行き違いで反故にされた。俺も一枚絡んでて.......、確認不足だって課長にドヤされて...............。」

初めて聞いた、拓海のこんな話。会社の事はあまり話したがらなくて、内容もオレには分からないと思っていたんだろうな。互いの職種の違いが、オレたちの間に距離をおかせた。
でも、今夜は余程辛かったのか.........。オレの腕に頭を乗せて自分の顔を手で覆いながら悔やんでいた。

その手をそっと外して、オレの方を向かせると、拓海の瞼にキスをする。これは、どんな意味を持つキスなんだろう。
悔やんで愚痴を吐く男への同情か?!どちらにしても、元気を出してほしいと思ってのキスだ。

「何でもカンペキな拓海くんが珍しい。お前も人間だったんだな。」

「.............、ば~か、当たり前だ。それに、俺はカンペキなんかじゃねぇし。」
そう言って拓海の目が泳ぐと、オレの腹をそっと撫でた。

「ホントは恐いんだ。お前のコレ、............俺の中に入るなんて信じられねぇ。ネットで検索して、更に怯んだし................。」

「................は、.........はははっ、..............はは、」
オレは笑うしかなくて、さっきまで仕事の事で凹んでいたっていうのに。

「怯んだわりには、勢いよくオレのに食いついたじゃないか。どっかで教わって来たのかと思ったぜ。」

「ばーか、誰が教わるかよ!アツシのだから.................、だから出来ると思ったんだろ?!好きな奴のじゃなかったら、触ったりも出来ないって。..............でもな、.............やっぱ恐い。今は、これが正直な気持ち。」

拓海の気持ちは充分通じた。オレだって初めてアノ店員とシた時は、ビビりまくりだったもんな。けど、ちゃんとリードしてくれて、恋愛感情は無かったけど優しく労わってくれた気がする。
オレはダメだな.............、そういう優しさに欠けていた。

「それで?仕事の方は大丈夫なのか?」
気になるから聞いてみる。それを引きずってこの休みを過ごすなんて可哀そうだと思った。

「ああ、ちゃんと上司がアポとってくれて、もう一度会ってもらえる事になった。うまくいけば本当に契約してもらえそうだ。」
拓海の話す声が少しだけ和らいだ気がして、「そうか、ならよかった。取り敢えずは上手くいくように祈っておくよ。お前が絡んでいるんなら尚更。」と、もう一度唇を頬にくっつけてチュッと音をたてた。

オレの中に沸き起こるこの感情をなんと呼ぶんだろう。
こうして拓海の凹んだ姿も、喜ぶ顔も、すべてをこの位置で観ていたいと思うんだ。体温の伝わる場所で、手を伸ばせばそこにいる。そっと触れれば、脈打つ心臓の鼓動を感じる事が出来る。指を絡めて眠りにつける場所に、いられたらいいな................。



「拓海...........、セックスしようか。」

「...........え?」

「オレに、挿れていいよ。...........自信はないけど、オレの方が経験があるし、今ならお前を受け入れる事が出来ると思うんだ。やっぱり繋がりたいって思うし、......いい?」

オレは、真剣な目で拓海の顔を見ると言った。


「.........アツシ、.........いいの?」

「うん。」

頷くオレに、拓海は顔を近づけて、そっとくちづけをした。
それに応えるように、オレも拓海の背中に腕を回すとギュっと引き寄せる。太ももの間に入った拓海の足が、オレのモノに擦れるだけで心地よい快感を得る事が出来た。

.........、はぁ..................

拓海の舌が、オレの首筋を吸いつきながら這っていく。捲り上げたTシャツから覗く胸にチュっとリップ音を立てれば中心を舌先でつつくようにされ、思わず「ぅ、........ん」と言って腰が浮いてしまう。

頭の片隅で、きっと拓海はこんな風に女を抱くんだ。と思いながらも、今はオレの身体を這う舌に酔いしれているオレだった。





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コメント

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Re: No title

いらっしゃいませ(#^.^#)

<きっと拓海はこんな風に女を抱くんだ。と思いながらも>ってとこ、切ないよねぇ。
> でも、やっぱり、そう考えてしまうんだろうなぁ~とか、色々、考えながら読みました。

...切ないねぇ。この時、初めてアツシは拓海の過去の女を意識したのではないでしょうか。
どんな風に抱いていたのか.....すっごく気になると思うのです~ぅ!

> 聴いていたBGMがフジコさんの弾くショパンで、丁度、拓海の仕事の失敗からヤバいシーンに差し掛かるところで、
> お誂え向きに「木枯らし」だったので、効果音の如く雰囲気に合いすぎて笑ってしまいました。

なんと高尚な!!フジコ・ヘミングウェイさまでしたっけ?あれ?違ったかな・・・?💦
効果音にしてくださって嬉しいです。結局、アツシが堪えきれなかったようで。笑
愛があれば、なんとかなるかと・・・・お薬(オロ〇イン軟膏)用意しておきま~す。笑

お越しくださり有難うございました。

No title

<きっと拓海はこんな風に女を抱くんだ。と思いながらも>ってとこ、切ないよねぇ。
でも、やっぱり、そう考えてしまうんだろうなぁ~とか、色々、考えながら読みました。
聴いていたBGMがフジコさんの弾くショパンで、丁度、拓海の仕事の失敗からヤバいシーンに差し掛かるところで、
お誂え向きに「木枯らし」だったので、効果音の如く雰囲気に合いすぎて笑ってしまいました。