『君と まわり道』 73

*少しR入ります*

 
 帰りの電車の中は混んでいて、二人で向かい合って立っていたが、時折目が合うと拓海が真剣な眼差しを向けるから焦る。
何かを語っているんだろうけど、オレはじっと凝視出来なくて、目が泳いでしまうんだ。一体、何を言いたい?

それに、こんな人混みの中でオレをじっと見るなよ。隣に立つ女の子が、拓海を気にしている。オレにはなんとなく感じるんだ、そういう熱ってピンと来るもので、オレもたまにだけど’こいつらデキてるな’って気づく時がある。

 本人たちは隠していても、熱い眼差しを向けていると’好き’って感情がだだ洩れで、周りには分かるんだ。
だから、オレはわざと拓海から目を逸らす。
.........別に焦らしているつもりは無いんだけど。



........つもりは無かったのに、アパートのドアを開けるなり拓海がオレを抱きしめてきた。

「ちょ、.......」
言葉を出す間もなく唇を塞がれて、鼻息が洩れるとやけに興奮して、オレも拓海の首に手を回した。少しの距離も置きたくない程密着すれば、舌を絡めて仄暗い玄関先で求め合う。

上司に出会うからと、ボタンダウンのコットンシャツを選んだが、拓海がオレのシャツに手をかけて、ひとつずつボタンを外していくのがまどろっこしくて.......。
キスをしながら、オレも下から自分で外しにかかった。
すぐに、拓海も着ていたポロシャツを脱ぎ捨てれば、肌と肌がしっとりと重なり合う。

「.......た、くみ、..........ベッド、行こ......」
オレが少し離れて言うが、
「ここでいい。............ここで、アツシを抱きたい。」
そう言ってオレの腕を引くと、頬に手をやり唇を奪う。

壁に背中を預けたまま拓海の舌を受け入れていたが、やがてその舌は、オレの首筋を這うと鎖骨から胸へと降りて行った。
オレは拓海の頭に手をやると、さらりとした髪の毛を掴む。
拓海の舌が、オレの敏感な尖りを下から舐め上げると、思わず「ぅぅ....」と鼻から息が洩れてしまった。
尚も執拗に舐め続けるが、次第にオレの前が誇張し出して、それが分かったのか、拓海は穿いていたチノパンのジッパーに手をかけた。

「あ、っそれは...........、」
跪いてオレの股間に向き合う拓海の顔を持つと、こちらを向かせる。

「............ダメ?」
甘く囁くように聞かれて、オレは疼きを押さえられなくなる。でも、仕事してマンションにまで出かけて来て、こんな状態じゃ申し訳ない。せめて風呂に入りたいと思った。

「汗、かいてるから..........」
「そんなのいいよ。..............アツシのだもん、このままでいい。」

そう言うと、前を解放してオレの勃ちあがったモノに唇を這わせた。


................あ、..............っ

恥ずかしいのと、気持ちいいのとで、ギュっと目を瞑れば息が抜けて声が出る。
拓海の頭の形をなぞる様に、ゆっくり指で撫でると、拓海が下からオレを見た。
灯りは無くても、キッチンの窓から入る通路の照明で、拓海の表情が分かる。その濡れた瞳は、オレの目から離れないで、ひとつ一つの小さな動きにまで神経を注いで観察しているようだった。

「や、だ.........こっち、見んな、...........恥ずかしい.................んっ、」

オレが顔を背けて言ったが、拓海に飲み込まれていくのは止められなかった。次第に、オレの腰が前後に動き出すと、膝に力が入らなくなってくる。
「も、.........だめ、...........ぁ、....................で、....るぅ.....」
堪えきれなくなって言葉に出した途端、オレは拓海の咥内に放ってしまった。



- - - 
狭い浴槽に、二人で身体を沈めれば、もう隙間なんてないぐらいぴっちりとして動きが取れない。
拓海の胸にオレの背中が寄り掛かって、曲げた膝をひじ掛けにすれば、結構快適だった。

「なんで興奮したんだろうな。電車の中でアツシを見てたら堪らなくなっちゃって........。」
そう言うと、拓海はオレの後頭部へコツンと頭突きをした。

「痛ぇな。オレに聞かれても、知らないって。なんか、目つきがいやらしい男になってたよ。お前。」
「え?マジか?.........やべぇな、痴漢に間違われたらどうしよう。アツシのせいだ。」
またもやオレの後頭部へコツンとするから、首を反らせて顔に当たる様にしてやった。後ろからホールドされているオレは不利で、拓海にやられ放題じゃ悔しい。

「イッテぇ、鼻に当たったら痛いだろ。」
「お前が悪いんだろ?!オレに頭突きしてくるからさぁ。.....ったく。」

風呂の中で、オレたちは何をやっているんだろう。
「先に出る。腹減ったよなぁ.............。」
「ああ、」

ザブン、と波打った浴槽から身体を起こすと、オレは先に風呂場から離れた。

ノンケだった拓海が、あんなにオレを欲しがるなんて思ってもみなかったから、ちょっとだけ動揺してしまったが、前に気になっていた感情は徐々に和らいでいると思った。
’気持ち悪い’・・・・そんな風に思われるのが怖くて、自分を曝け出せないでいたが、拓海は全く気にしていない。
むしろ、ゲイのオレなんかより貪欲に求めてくる。

それはそれで嬉しいことだ。オレだってもっと求めたいんだし.....。



拓海が風呂から出て来るのを待つと、前もって作っておいたサラダとそうめんをテーブルに出す。
こうやって向かい合って、この先何年、いや、出来ればずっとがいいな。拓海とオレと、二人があそこで暮らしていける事を願うばかりだ。

「なあ拓海。」オレが声を掛けると、そうめんをすすりながら拓海がこちらを見た。

「なんだ?」
飲みほすと、手で口を拭って聞く。それはいつも通りの上目遣いにオレを見る目で.....。

「オレたち、長い間グルグル回っていたけどさ、」

「うん、....」

「やっと、ここに、二人のいるべき場所に辿りついたって感じだな。」
まっすぐ拓海の目を見て言えば、拓海は顔をあげてニコリと笑う。

口角をあげて、ちょっと照れくさそうだったが、その目は優しくオレを包み込む。
それから、しばらく互いの顔を見合うと、無言で微笑みあった。



多分、二人の意識はさっき尋ねたあのマンションでの暮らしに向けられていただろう。
これから始まる、オレたちの未来の形。どんな暮らしが待っているのかは、まだ想像でしかないが、きっと二人なら楽しいはず。

オレと拓海の長い道のりは、ここで一つに交わって一緒に同じ道を歩むことになる。
それが、今のオレには最高の楽しみとなっていた。






------------------『君と まわり道』------------------最終話

ここまでご覧頂きまして誠に有難うございます。
皆様には大変感謝申し上げます。
拍手・コメント 本当に励みになりました。

次回  『寄り道しないで帰ろうよ。』 をお送りする予定です。
なんだか、『道』シリーズみたいですが、実はアツシと拓海のこれからのお話です。
互いの気持ちに辿りついて、長いまわり道は終わりました。
二人がマンションで暮らす事になり、そこで繰り広げられる日常をお届けできたらいいな。と思っています。
是非また、イッチのお話にお付き合いください。よろしくお願い致します。


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コメント

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No title

終わっちゃった……。一つの話って終わる時、引き摺りたくなるっつーか、寂しいよねぇ。
でも、すぐに次のって、ittiさん、凄い。また、寄せて貰うね~。