境界線の果てには。(038)

洗面所ヘ行った真咲は、丸めたバスタオルを洗濯機に投げ入れると、そこにあった他のシーツや衣類も投げつける様に入れた。

-ったく、頭にくる‼
何が「友達にも言っとく」「真咲に迷惑かけない様に」 だよ。
今までさんざん頼っといて、そんな友達いるんなら初めからそいつに頼れっての。


洗剤を入れると、バタン!
わざと大きな音をさせて、蓋をしめた。

同時に、いいようのない寂しさも沸き上がってくる。

ちっ、と舌打ちして部屋に戻ると、広斗はまだ頭にバスタオルを巻いたまま。

「おい、早く髪の毛乾かせよ。風邪引くだろうが。」
イラついて、きつく言うと
「大丈夫、自然に乾くから。」

「お前、オレが来るまでゲロまみれで床に転がってたんだぞ! それだけでも、風邪ひいたっておかしくないんだ。早く乾かせよ!」

「だから、ひいてないって。大丈夫だから。」


その言葉に、更にイラついた真咲は、広斗の頭のバスタオルを引っ張って外した。

「おい、急に……なんだよ。もう……お前はすぐに手が出る。DV夫になるぞ⁉」

カアッ、っと自分の頭に血が昇るのを感じて、その場にバスタオルを投げつける真咲。

……………

広斗も真咲も、言葉を発しない。
もやもやした空気が立ち込めて、じっとしていた。


-なんなの? 俺が悪いの?
……謝ったじゃん。……

広斗の口が段々尖りだし、足元のバスタオルを掴むと、洗面所ヘ行った。

しばらく、そのまま洗濯機の回るのを見ていると、バタン、と玄関のドアが閉まる音。

ハッとして、廊下から顔を出すが、そこに真咲の姿はなかった。

慌てて部屋に戻ると、窓から下を見る。

暫くすると、アパートの下の道路を歩く真咲が見えた。大股でドカドカと地面を踏みつけ、歩き方で怒りを表している。

「なんだよ‼…もうっ!!!」
広斗の叫び声が、たったひとりの部屋に響きわたる。




pageひろと

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